第99話 親友との再会
森の中でルシファーのことを知ったリリアンたちは草木が揺れる音が聞こえてくる。やってきたのは狐のお面を付けた一人の青年。着物を着ており、元の世界を想像させるような服にリリアンは懐かしさを感じる。
「遅かったなタツキ」
「魔王様、大変なことになっております。帝都が
「やはり、ルシファーのやつ…大量の
「どういたしますか?」
「もうこの国は終わりだ、問答無用で殺せ!」
「はい」
「タツキ…??
リリアンはタツキに近づくと、タツキは狐お面を外す。その顔は幼い頃の親友とよく似ている。頬から口元にかけての引っ搔かれた三本線ができている。彼のこの顔は幼い頃を思い出す。
龍鬼は莉里亜の近所に住む幼馴染。二人でよく遊んでおり親友と呼べるほどの仲の良さだった。彼にあの傷ができたのは莉里亜が野犬に襲われた時だった。一人で公園に居た時に莉里亜は普通にいると突然野犬が出てきて莉里亜を襲った。それを龍鬼は身を挺して莉莉亜を守った。すぐに大人がやってきて大事には至らなかったが、龍鬼の顔には大きな傷跡になってしまった。
だがその顔でいじめをするものは居なかった。居たとしても龍鬼はやり返すことのできるほどの強い人だったため、やり返されるのに恐れていた周りはいじめをすることがなかった。
これからも龍鬼と一緒に居られると思っていた莉里亜は突然の引っ越しがあり小学生最後の一年は一緒に過ごすことができずに去ることになってしまった。
莉里亜が去った後も、龍鬼は莉里亜の居場所を探していた。莉里亜の居場所がわかったのは彼女が亡くなった数日後だった。彼女の通夜にはそこまでの人は来ていなかったが、嫌な思いは貯まる一方だった。通夜にやってきたどこかの社長令嬢は泣きながら入って彼女に焼香をしていたが、周りにバレないようにニヤニヤ笑顔で居たためである。胸の奥で怒りで爆発しそうになるのを必死に堪えていた。そして確信する、彼女が莉里亜を殺した人物だということに。
『ー莉里亜…お前は幸せになるはずだ。ならないとダメだ!!!こんな女に殺されて不幸になる女じゃない!!!!ー』
龍鬼は家に帰ると祖父が残した古い本を取り出し自分の部屋で悪魔を呼び出す儀式をする。元々龍鬼の母親の家は悪魔祓いの一族で、式神を呼び出す儀式で悪魔召喚をしていたため、そのやり方は龍鬼にも教えられている。龍鬼はそのやり方を行い、悪魔を召喚する。
その悪魔によって莉里亜をこの世界に憑依させることに成功。龍鬼はその対価として悪魔に魂を渡すことにしたが、悪魔に力を与えられてこの世界で生きることになった。
「莉里亜…なのか?」
「そうだよ!!!見た目違うけど、莉里亜に違いはないよ!!!」
リリアンはタツキを抱きしめるとタツキもリリアンのことを抱きしめる。親友との再会に喜ぶリリアンだが、ふと誰かの気配を感じる。タツキはリリアンを後ろに隠すとヘルミーナが姿を見せる。
「ヘルミーナ令嬢!大丈夫よ、味方だから」
「本当にか??」
タツキはヘルミーナを見つめているとヘルミーナは疲れている様子を見せる。何かを訴えようとしているがその前にリリアンが近づいてしまう。
「リリアンちゃん待って!!!!」
ハンスが声を上げるがリリアンはヘルミーナの側に寄ってしまう。ヘルミーナは小さな声で謝罪の言葉を述べると見た目がゾンビの様になる。
「えっ??」
「莉里亜!!!!!」
「公女様!!!!!」
生きる
「今あの黒龍とは闘えない!!!全員退避!!!生き残ることだけ考えろ!!!」
全員はランウェルの声に答えて森の中を駆け下りる。ちゃんと背後に隠していおけばよかったとタツキは後悔しているが、リリアンを取り戻すことと生き残ることだけを考える。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヘルミーナに連れ攫われたリリアンは皇族の間で目を覚ます。腕は縛られており、解こうとしてもうまくできない。
「ほんと、簡単に捕まってくださりありがとうございます」
くすくす笑ってやってくるルシファーにリリアンは睨みつける。ルシファーの腕は再生しており、不死の力を持っているのではとリリアンは思う。
「彼女はあなた様のお知り合いで間違いないですよね??魔力がそこまで無いので、
「本当に、性格が悪い人ですね…!」
「それは人間の方でしょ。あの人を殺しておきながら、なんの反省もないなんて…!」
「今生きている人たちは関係ないでしょ!!!!」
「関係ある!!!!お前らはあの人を殺した『人間』なんだ!!!同罪だ!!!」
ルシファーはリリアンを頭を掴むと地面に顔を叩きつける。頭を打ったことにリリアンの額からは血液が流れる。
「今からあの人を蘇らせる儀式をする。お前を犠牲にしてな」
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