第35話 山賊
カーラはすぐにグレンにヒリリトンから貰った情報を伝えるために伝書鳩にお願いして飛ばす。ゆっくり帰るつもりだったが、山賊が多いという話しを聞いてから二人は焦りを感じる。この状態で襲われでもしたら、また戦わなければ行けない。
リリアンはため息を付いていると突然馬車が揺れ動く。フラグ回収をしてしまったことにリリアンはため息が漏れる。
「公女様、どうやら山賊のようですね…」
「そうですね。ヒリリトン様、恨みますよ…!!!」
リリアンは静かに怒りを見せる。そのことは一人研究をしているヒリリトンに届き、一人でくしゃみをする。
「
「違うよ、誰かが噂してるみたいだよ…ウヒヒヒヒヒッ!!!」
不気味な笑いを見せるヒリリトンに信者は引いてしまう。山賊に絡まれるリリアンたちは馬車の周りまで追い込まれることになってしまった。
「ふっへっへっ!!!金物を置いていきな!!!!」
「美しい女だな~~~売る前に少しだけ味見でもしようかね~~~~~!!!!!!」
ナイフを舐めながら近寄る山賊はリリアンとカーラを見つめ、犯す気でいるのが分かる。あの時襲われた感覚を感じるが、慣れてしまったのか、恐怖すら感じない。
「もう、めんどくさい!!!!!!」
リリアンはイフとアルディンを呼び出し、山賊を追い払うことにする。すると突然突風が吹き荒れる。その風は誰かを呼んでいるようにも感じる。突如つむじ風が発生し、ハーピーのような姿をした魔人が姿を見せる。
「見つけましたよ!!!公女様!!!!」
「なんだこいつ!!!!打ち落とせ!!!!」
山賊たちは弓矢を構えてハーピーを打ち落としにかかる。しかし優雅に飛び回るハーピーに弓矢すら掠りもしない。
「申し訳ないけど、ご
ハーピーはつむじ風を起こして山賊たちを吹き飛ばす。すると見たことがある姿がリリアンの目に入る。それはアカデミーで見た兄であるガクドの姿。
「お兄様!!!!」
「リリィ!!!!!」
地面に降りてくるガクドはリリアンのことを抱きしめる。そんなに長い時間あってない訳では無いのに、久しぶりの再会だと感じてしまう。ハーピーは嬉しそうにしていると岩壁に身体を叩きつけられた山賊たちが呻き声を上げながら伸びてしまっている。
「お兄様、彼女は…」
「言い忘れたな、こいつは俺の使い魔、風の悪魔シルフィアだ」
「シルフィアです、よろしくお願いします公女様」
「はじめまして、リリアンです。えっと、イフとアルディンです」
リリアンはイフとアルディンを紹介する。二人は頭を下げると騎士たちはガクドに敬礼を見せる。
「小公爵様、申し訳ありません!貴方様のお手を貸してもらうなんて…騎士失格です!!!」
「そんなことない、たまたま俺がここに来ただけだ。その山賊どもは我らが率いる警備隊に任せてカーラ嬢をお送りしろ!」
「ありがとうございます…!!!しかし公女様は…」
「妹は俺が責任をもって家まで送る。早く行け」
「ありがとうございます!!!では失礼します!!!!」
馬車に戻ったカーラはリリアンに手を振ると、馬車が走り出す。リリアンも手を振ると入れ違いに警備隊がやってきて山賊たちを拘束していく。
「小公爵様!!公女様、協力感謝をします!!!」
「礼なんて不要だ、俺らは先を急いでいる。後のことは任せるぞ」
「はっ!!!」
警備隊の隊長はガクドに敬礼を見せるとガクドは背を向けてリリアンをお姫様抱っこをする。ガクドは公爵家がある領地に向かって飛び立つ。
「お兄様、どうしてここに?????」
「魔塔があるあの森には山賊が住み着いていると聞いてな、お前が危険だと感じたから」
「お兄様は物知りですね」
リリアンは空を飛ぶのがアカデミー以来で楽しく感じる。ガクドと同じように風の精霊を召喚できれば、空を自由に飛べるのかと考えてしまう。そうすれば、ガクドと一緒に空を飛び回ることができるのではと想像する。
少しだけ笑っているリリアンを見てガクドはなにを笑っているのだろうかと思ってしまう。リリアンたちは公爵家とは違う領地に降り立つと外が暗くなっているのが分かる。
「もう夜ですね…」
「あぁ、このまま飛んでも夕食に間に合わないし、ここで一泊しよう」
「ところで、ここは???」
「俺の隠れ家だ!!親父にお願いしてもらったんだ。もしなんだったら親父に言って領地にある家をもらいな」
「お父様に言うと、お城を造りそうですね」
リリアンは笑って冗談だと思うが、どうしてもお城を造ってしまいそうでうまく言えない。
「でも、お兄様。お兄様なら夜になってもいいんじゃ無いんですか???」
リリアンは夕日を見るとまだ沈みそうに無い雰囲気がある。しかしガクドはどこか気まずそうな顔をすると夕食の時に話すと言って、リリアンが止まる部屋に連れて行ってくれる。
屋敷に入ると待っていてくれていたように使用人が頭を下げてくる。リリアンは部屋で髪留めとドレスを脱いで、夕食をとる服に着替えさせてくれる。よく見えていなかったが、ドレスも泥で汚れいていたことがわかる。
「ではお嬢様、良いお食事を」
「ありがとう」
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