第31話 魔塔主への視察
今回使用されたアーティファクト、それが魔塔で生成されたもの。それにはカーラは反論する。
「ちょっと待ってください!!!私はその話を聞いていません!!!!」
「カーラ嬢、話さなかったのは、君が魔塔の
「確かに魔塔の
「そうであったか、すまないな」
「いいえ…私も声を荒げて申し訳ありません」
二人はお互いに警戒しあっているため、連絡が行き届かない。カーラは声を荒らげたことに反省を見せて謝罪をする。
「話を続けます。魔塔の
「魔塔の
「前に調査隊を派遣しましたが、彼らとも連絡が途絶えています」
「殺された可能性があるな…」
「グレン様!!!」
カーラは声を上げるとグレンは彼女を見つめる。彼女の目には必死に訴えているように見える。
「どうか、私にその派遣を任せてもらえませんでしょうか⁈」
「カーラ嬢、いくらなんでも魔法大臣の娘を一人で行かせる訳には…」
リリアンはカーラを見て魔塔の
「グレン様、その派遣に私にも同行させてください」
「公女様…⁈」
「公女様、それには同意できない」
「カーラ嬢のみでは危険です。ならば、私の使い魔…いいえ上級精霊を連れて行けば大丈夫です」
リリアンはイフを呼び出すと口にクッキーを含んだ状態のイフが姿を見せる。そのことにリリアンは思わず目を見開く。
「ちょっと!!!何食べて…!!!」
「すんません、なんかおいしかったから…」
「だからって!!!!」
リリアンは思わず恥ずかしくなってくる。イフがこんなに呑気な奴だと思わなかった。グレンは少しだけ笑い、イフの態度を許してくれる。リリアンはその場にいる全員に魔法が無く、精霊師だということを伝える。
全員は驚いた表情をしていたが、快く受け入れてくれる。
「まぁ、公女様の使い魔は強いので、良しとします。しかし、本当に危険だと感じたら、必ず逃げると約束してください」
「もちろんです、必ず師匠の…いいえ、魔塔の
ーーーーーーーーー
パーティーの解散後、リリアンとカーラは行く日程を経て、翌日に二人で魔塔の
翌日、二人は同じ馬車に乗り向かうが、カーラは落ち着きが無いように感じる。それも仕方がないかもしれない。いくらなんでも自分を弟子として認めてくれた人が今回の事件の関係者の可能性があるのだから。
「カーラ嬢、やっぱり落ち着かないですか?」
カーラは驚いたように顔を上げるとリリアンを見つめる。彼女の目には不安と恐ろしさを物語っている。自分の師匠を疑うことなんて出来るはずがない。
「申し訳ありません公女様。しかし、一緒に来てくださりありがとうございます…。私だけでは、不正なことをしそうなので…」
「では、しっかり潔白しなければなりませんね」
リリアンはカーラに少しでも不安を取り除くためにたがいない話をする。すると突然馬車が揺れる。二人は慌てて護衛についた騎士に尋ねる。
「何事ですか⁈」
「申し訳ありません、車輪がぬかるみにはまってしまい…」
二人は馬車から降りると車輪がしっかりぬかるみにハマっている。これでは馬車では先に進むことができない。
「困りましたね…」
カーラは車輪を見つめている間、リリアンは周りを見渡す。周りは雨が何日も降っていないのかカラカラになっている大地を見つめる。
『イフ、あのぬかるみを鑑定できる?』
『鑑定したけど、あれ魔法で造られたトラップだぞ』
『やっぱり、これって、私たちに先に進めないようにしてるね』
『どうする?俺の転送魔法で入り口の前まで連れて行こうか????』
『できるの??』
『魔法とは違うからね、奴らのトラップには掛からないよ?』
『じゃあ、お願いするわ』
リリアンはイフとの念話を切るとカーラに話しかける。
「カーラ嬢、これより先は私たち二人で行きましょう」
「えっ…でもどうやって??」
「簡単です、あなたたちはぬかるみから出たら、すぐにここから出れるように準備しておいてください」
「えっと…わかりました…」
騎士はいまいちわかっていないようだが、リリアンとカーラは一緒に魔塔に向かう。二人は手を取るとイフの転送魔法で瞬時に移動する。
その頃、魔塔では罠にかかったことに魔道士は喜んでいた。
「
「そう…あんまり土足で入ってきて欲しくないんだよね…ボクらフィールドに」
ヒリリトンは魔法でポットに入った紅茶をカップに注ぐ。それを飲んでいると警報装置が大きく鳴り出す。それは塔の前に侵入者がやってきていることを示す音。
「誰がいる!!!」
「そ、それが…門の前に、馬車でやってきた令嬢二人です!!!!」
「バカな!!!魔法のトラップに掛からなかったと言うのか!!!!!」
「その可能性が大です!!!!もしかしたらその魔法は、精霊による魔法の可能性があります…!!」
そのことにヒリリトンは大笑いをする。いくらなんでも精霊を操れる人はもう存在しない。精霊使いの彼女は亡くなったのだから。ヒリリトンは二人を監視用のゴーレムで見つめる。二人が何者なのかと思ってしまう。
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