第三章 ①在狼コン太
箱根町・芦ノ
湖上を周航する
そんな
今日も心地よい静けさの中、至福のうたた寝の時間を過ごす。
しかし不意に、安眠を
在狼は芦ノ湖の深奥から垂直に飛び立った。そうして滝落としの局所的豪雨が降り注ぐ
『否アァッ!』
黄金龍王の低い
それと同時に、在狼に『否の制裁指令』が
あーあっ、うんざりするねえ? 毎回毎回ワンパターンで飽き飽きするねえ? またもやまたもや、龍神界と是契約を交わして造形無き『
おいらの役割(使命)はさ、契約者の運命が暗転した瞬間に立ち会って
「リズム消滅。鬼畜め、バイバイ!」
エラー人間は
所沢市・緑町。
ひと仕事終えた在狼は人間の姿に
それは『龍使い凛花』が暮らす『赤煉瓦ベル』だ。
「おっじゃましまーす!」
「あら、コン太。いらっしゃい」
真珠色龍神ノアが迎えてくれた。
「あ、コン太、今日は手巻き寿司だよ」
凛花はテーブルに刺身ときゅうりを並べていた。
何を隠そう凛花とノアは、ここでふたり暮らしをしている。凛花が龍使いに任命された『あの日』から、赤煉瓦ベルの1DKで仲良く暮らしているのだ。
そして、そして! ジャンジャカ、ジャカジャーンッ!
真珠色龍神ノアはおいらの恋人だ。それも龍神界公認の
夕食の準備が整って三人は食卓を囲む。
在狼は
「ふんまい(美味い)!」
凛花が笑う。
「ふふ。コン太は手巻き寿司好きだよね! いっぱい食べてね」
ノアは呆れ顔をする。
「もう! 食べながら喋らないでよ。行儀悪いわね」
ふと、凛花が
「あのね、ずっと疑問だったんだけど……。『
質問に答えよう。だけどまずはその前に……。お茶をがぶがぶ飲み干した。ほお張ったパンパン海苔巻きを一気に
「ぷはぁっ! おいらの愛称だよ」
「愛称? あだ名ってこと?」
「そうだよ。おいらの親友の『カリスマ
「わあ、そうなんだ!」
「そいつがさ、『
愉快そうに話すコン太からは敬慕の念が伝わってきた。『カリスマ神霊獣使い』だという親友のことが大好きなのが伝わってくる。
凛花はなんだか嬉しくなる。
「
「さすがはみかん農家の
「うん、きっとそうだよ」
「イヒヒ! あいつめ。だけどおいらも金柑に負けないくらいノアには甘々だよ!」
コン太はわかりやすくデレデレした。
凛花はしみじみ思念する。
確かに、コン太は黙っていれば『クールな美男子』だと思う。長身逆三角形の均整の取れたスタイル、浅黒い健康的な肌、すべてを見透かす瞳はミステリアスだ。
だけどそれ以上に、呂色九頭龍神の姿も躍動していて素敵なのだ。龍眼は金色に
だけど、コン太は決してニヒルではない。ヤンチャの食いしん坊のお喋りだ。茶目っ気たっぷりの性格は憎めなくて可愛い。
恋人のノアに擦り寄る姿は
金柑のように甘さと苦みを兼ね備えたパーソナリティは在狼よりもコン太がピッタリだ。迫力ある呂色九頭龍神在狼を『コン太』と呼称する神霊獣使いは龍神の性格を完璧なまでに
凛花は、名付け親である面識なき『カリスマ神霊獣使い』に深い敬意を表した。
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