023 俺の知ったことじゃないけど

誤字修正 2023.10.01



「むしろ復帰しない方がおかしい。 これだけのメンバーがいる。 だれも姉さんの足を引っ張らない。」


「そうね、むしろ今の美春さんならこっちだと足手まといになりかねないわね。」


 おぉ… 手厳しいねぇ。 でもま、それが事実かな。

 ゆかりと美冬はAランクの中でもそれなりに実力はあるし、小百合はそれについて行ける程度には取り戻している。

 上位4人は決まってるから下位になってしまうわけだ。


「だから美夏と一緒に俺が面倒を見るんだよ。 賢者のジョブがあるんだから魔術を鍛え上げればいい感じになると思うよ。」


「わ、私は…」


「学園で組んでたパーティーが美春さんについて来れなかったんだろ? それで抜けようとしたらペナルティ。 だから進学を理由に引退して距離を取った。 さすがに引退するやつにまではペナルティを課さなかったみたいだね。」


「なんでそれを!?」


「さっき説明したでしょ? 俺はクランマスターだからね。 それなりの情報源があるんだよ。 最後までうだうだ言ってたやつは対応されたらしいからもう大丈夫だよ。」


 ちょっと聞けばこれくらいの情報はすぐに集まったよ。 俺がそういうの嫌いなのを知ってるからもう対応済みとしか聞いてないんだよね。


「美春姉さん! 一緒にやろ! 魔法のこと教えてほしいな。 零司くんってスパルタすぎて…」


「たしかにスパルタよね… でもきっちり仕上げてくれたわよ?」


「美夏は甘えすぎ。 零司は厳しいけど教えるのは上手い。」


 2人にここまで評価されてるとはね。 たしかにかなり厳しくやったけど俺自身の訓練よりは軽かったんだよ…?


「美春さま、このパーティーで20歳を超えているのは私だけですのでもう1人くらいいてくださると嬉しいです。」


「はぁ… わかったよ。 でもしばらくはリハビリさせてくれよ?」


「もちろん! 全員個人Aランクがとりあえずの目標だから頑張ろう。

 そっちの3人はSランク目指してもいいよ?」


「無茶言わないで! でも合流までには安定したAランクパーティーになるわよ。 2人とも気を抜かないでね!」


「もちろん。」


「当然です。」


「ねぇ… 私もAランクを目指す流れになってない? ちょっと待って!?」


「美春さんとあとで美夏の育成計画を立てるから心配すんな?」


「うむ。 零司はこの2人を育成した実績があるんだ、私のことも美夏のこともよろしく頼む。」


「うそ… 無理よー!!!」





「なぁ… 呼ばれたから来たんだがどうなってんだ?」


 小百合に平坂を呼んできてもらったのはいいが、美夏は部屋の隅でうずくまってるし、美春さんは生き生きと魔術のイメトレしてるし、ゆかりはなんか腕組みして平坂を睨んでるし、美冬は剣の手入れをしてる。


「あんま気にすんな。 とりあえず依頼の報告をしたいだけどいいか?」


「それは助かる。 踏破できたのは聞いたけどお前が報告ってことはなにかあったんだよな?」


「あぁ、今回は本気でしんどかった。

 まず地竜のダンジョンな、ボスは2体。 この時点で聞いたことがないんだけど、そっちでなにか情報あるか?」


「ボスが2体…? いや、そんな話しはどこからも…」


「情報が入ったら教えてくれ。 それでそのボスだけど、鋼飛竜と鋼鎧竜だ。」


「はぁ!? そんなのがセットで来るなんて普通に死ねるぞ!?」


「俺もそう思う。 あの硬さはほんと冗談じゃ済まんよ。」


「その2体をやれるんだからお前も大概なんだけどな… 魔石の買い取りは頑張らせてもらうよ…」


「即答はしないぞ。 んで次は猛牛ダンジョン、こっちはまぁそれなりだ。 でもAランクなら最低でも5パーティーくらいはいないと踏破はできないくらいの数だったな。」


「5じゃ足りないわよ。 ビッグブルは普通の乙一種のより強かったわ、あれだと安全マージンを考えるとAランク5にBランク10くらいのレイドを組まないと厳しいわ。」


「だ、そうだ。」


「はぁ… マジかよ… 零司の言い方だと猛牛が1番楽だったぽいのにそれか…」


「最後に怪鳥な、ボスがクイーンコカトリスだったよ。」


「うそ…だろ…… そんなのもう甲種じゃねぇか…」


「それは俺が言いたかったんだけどな。 数がやばくて朝までかかった。

 おかげで寝不足だ、わかってるとは思うが今日の俺にめんどくせぇこと言ったら冗談じゃ済まんからな?」


「わかってる… 依頼を達成してくれたハンターにそんなこと言うわけがねぇだろ。

 それよりどれだけいたんだ…? 全部倒しきれたか?」


「卵までは確認してないけど、生まれてるやつは全部な。 2,000は超えたけど払えるのか?」 


「お前… 1つ100万でも20億だろ… そんなのすぐには…」


「だろうな、値崩れされても困るし魔石はこっちで処分するから依頼料だけ用意してくれ。 ゆかりたちが倒したぶんは普通に出すからそっちはよろしく。 それと買い叩こうとすんなよ? 優遇しろとまでは言わないけど適正価格は出せ。 これは信用の話しだからな?

 ボスの魔石は見せるけど鑑定したら返せよ。」


「もちろんだ。 通常通り3人の鑑定持ちに鑑定させてから返す。」



 と、話しがまとまったところで邪魔ものってのは来るんだよね。



「副支部長、勝手なことをしてもらっては困るな。」


「は? …支部長ですか……」


 はい、悪玉の登場です。 どうせめんどくさいことを言ってくるんだろ? わかってるよ。


「今回の依頼は副支部長の独断なのでキャンセルだ。 どうしても依頼を有効にしたければ今回の魔石はすべて納品してもらう。」


「へぇ… 全部買い取ってくれるんですか。 いくらで?」


「たかがハンターの分際で偉そうに交渉かね? それに君は学生か、目上の者を敬いたまえよ。 魔石の価格だが、依頼にあったとおり3つのダンジョンのすべての魔石の納品で最初の契約のとおり3,000万円で買い取ろう。」


「支部長! それは!」


「ふーん、依頼の金額で魔石まで全部出せって理解でいいか?」


「おい! 口の利き方に気を付けろよ。 だがその通りだ。 文句があるならこの依頼はなかったことになる。」


「うん、わかった。 そういうことならキャンセルな。

 平坂には悪いけどそういうことなら魔石の供給は止める。」


「おい、零司! 頼む! そんなことになれば!!」


 うん、平坂はわかってるけど支部長はわかってないね。


「ははは。 好きにするがいい。 どうせ貴様なんぞに魔石は売りさばけん、泣きつくなら早い方がいいぞ?

 うむ、そうだな… 私は寛大だから今日から10日以内なら2,000万で買い取ろう。」


 あーらら。 そういうこと言っちゃうんだ?


「「「…………」」」


 うん、みんなちゃんと空気読めて偉いね。 ここは俺の仕事だから口出ししたらダメだからね。


「こっちからも条件は出しておくよ。 謝罪金は今日から10日以内なら50億円。 以降は1日ごとに10億円追加、平坂の支部長への昇格、この支部の予算を2倍まで増額、あとこの馬鹿とその上下の屑の首。

 全部揃うまで一切の譲歩はない。 いいね?」


「はっ! 何をいうかと思えば! たかがハンターのガキ1人で何ができる!?」


「あー… 今後の指名依頼の料金も大幅に見直すから。 悪いけど10倍は覚悟しといて。」


「待ってくれ! そんなことされたら!?」


「氾濫しようが俺らは関知しない。 こちらは十分に自衛はできるからな。

 じゃあ、よろしく。 条件が飲めるようになったら会社の方へ連絡を。

 

 みんな、帰るよ。」



 それだけ言って帰る。


 ちゃんと忠告はしたのに馬鹿なやつだね。


 13番に盗聴器があるのにはちゃんと気づいてて、警告を聞いたのも確認できてるんだ。 それなのにあんなこと言っちゃうってのはあいつが俺をっていうよりハンターを舐めてるんだよ。

 今の日本はエネルギー革命が起きて、化石燃料から魔石からのエネルギーにシフトは済んでる。 魔石の供給が止まればどうなるかわかってるのかねぇ?


 減額交渉に応じるつもりはないし、どうするんだろ。 俺の知ったことじゃないけど。



作者です


⭐、♥、コメント

何か残していただけるとモチベにつながり泣いて喜びます!


近況ノートに適宜連絡や感謝を書かせていただいております。

そういったものもあるというご連絡でした。


次回は2023.09.22 18時です。

よろしくお願いします。

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