【俳句】同胞の骸のうえで蝉時雨

 蝉時雨は言わずもがな夏の季語で、そこから思い起こされる印象は、「うるさい」とか「暑苦しい」とかだと思います。でも、蝉の声は一夏の栄光で、そのうちにどんどん地面に死骸が見られるようになります。


 むくろ・魂の抜け殻=死骸が転がっているのに、(だからこそ?)蝉時雨がまないというところに、生死の対比を見いだせます。なんだかそれって詩的だなぁと思うんですがどうでしょうか。


 ところで、ここまできたら一遍の詩を思い起こさずにはいられません。金子みすゞの『大漁』です。

(以下引用)

   大漁

    金子みすゞ

 朝焼け小焼けだ

 大漁だ

 大羽鰮の

 大漁だ。


 浜はまつりの

 ようだけど

 海のなかでは

 何万の

 鰮のとむらい

 するだろう。

(引用終わり)

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