どちらかと言うと俺が王道じゃね?

エバラ

第1話

皆さんは『異世界トラック』という物を知っているだろうか?

ここ数年で一気に人気コンテンツとなった異世界転生物。その異世界転生物の冒頭にかなりの確率で出てくる『轢かれると異世界に転生できる!』といったものだ。

そして今日、僕もそんなことを経験した。もちろん、目の前には神もいる。

そんな神に許可を得ることで、今皆さんに話しかけているのだ。

「そろそろいいかな?転生、するんだろ?」

「あぁ、ごめんごめん、つい楽しくなっちゃった」

よし、そろそろ異世界転生という男心をくすぶる最高の言葉、体験について、しっかりと考えるとしよう。

「それじゃあ色々考えていこうか、とりあえず能力から考える?」

「おぉ!やっぱりチート能力みたいなのが貰えるのか!特典とかお詫びってやつ!」

せっかく異世界転生するのだ、魔法の才能!とか剣の才能!とか、そういう王道なやつがいいよな。

「俺、魔剣士みたいなのやりたい!ジョブは剣士だけど魔法も使えるみたいな!」

「ふむふむ、じゃあ剣と魔法の世界がいいってことかな?」

「そう!あー…でも俺がやり込んでたゲームの世界に…みたいなのもいいなぁ…どうしよう」

SFとかRPGとか、そういうのがすこぶる好きだった僕からしたら願ったり叶ったりな事だ。

「ふふっ、じゃあゆっくり考えてていいよ、私は色々やらなきゃいけない事があるから」

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