第12話 独立2!
早速指定申請に取りかかった。
ケアマネジャーの事務所、「居宅介護支援事業所」の運営には指定を受けたうえで初めて運営できる。
もともと私が経営する会社に介護保険事業を追加することから始めた。
指定申請の取り扱いは都道府県が管轄している。※平成30年4月1日からは市町村に指定権限が委譲された。
とりあえず指定申請について調べてみた。
1 指定申請書(第1号様式)
2 指定居宅介護支援事業者の指定に係る記載事項(付表13)
3 定款写し(原本証明が必要)
4 会社の登記事項証明書
5 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
6 組織体制図
7 管理者の経歴書
9 介護支援専門員証
10 介護支援専門員一覧
11 事業所の写真(外観・内部)
12 事業所の平面図
13 事業所の案内地図
14 事業所が賃貸である場合はその賃貸借契約書の写し(原本証明が必要)
15 事業所が自社所有である場合は不動産登記事項証明書
16 運営規程
17 資産の状況を証明する書類(決算書・事業計画書・収支予算書等)
18 関係市町村並びに他の保健医療・福祉サービスの提供主体との連携の内容
19 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
20 損害賠償保険加入を証明する書類
21 役員名簿
22 欠格事由に該当していない旨の誓約書
23 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表
沢山あった。目が回りそうだ。果たしてすべて用意できるのか…
不安だらけだったが、唯一の救いは独立を応援してくれた職場の上司だった。
申請に必要な書類の雛形はすべて参考書類があり、作成はスムーズだった。
雛形がない書類はインターネットで探すと、割と簡単に参考書類が見つかった。
県の担当は足を運び、書類の確認を行なった。細かいところまで点検された。
文言の誤字脱字から文章表現まで様々に直す箇所を指摘された。
1番の誤算は会社の定款だった。
定款の内容には、将来福祉の仕事を始める為事業内容を記載した。
「その他、介護保険に関連する事業」と。
しかし、この文言では申請は受理できないとの返答だった。
「居宅介護支援サービス」の文言を入れてほしいと。
定款の変更の必要に迫られた。
外部委託では少なくとも10万円程度は費用がかかってしまう。
そんな資金は持ち合わせていない。自分で何とかしなくては。
この頃の私はすべて自分で調べて行うことに美学を感じていた。とんだ勘違いだと今は思う。
申請作業に割いた「時間」は帰ってこない。
「お金」であればその時どうにかして用意し支払ったとしても、その費用は後々の売上で取り戻すことができたのに…
これは後から理解できたことで、当時の私にはそこまで考える思慮も何も持ち合わせていなかった。
定款は、自身で何度か法務局へ出向き担当者に方法を確認しながら何度か変更することができた。
当初、自宅マンションすべてを事務所として申請する予定だったが、県の担当者は協力的で一部でも申請可能であることを教えてくれた。
改めて自宅マンションの一部を事務所として申請。
申請の際はトイレの写真やマンション全体の写真、少しでも段差があれば段差解消用のスロープ設置などなど…いくつも追加項目が設けられたが何度かクリアできた。
ようやく、数ヶ月後には独立後の事務所として開業する準備が整った。
そんなある日、いつものように出勤すると、やけに静かな職場の雰囲気が感じられた。
事務所に行くと、置き手紙が置いてあった。先輩ケアマネの手紙だった。
「私はもう辞めます。後のことはくれぐれもよろしく」
頭が真っ白になった。
つづく
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