空から降ってきた少年イル(マルドゥークの末裔)と、砂漠に住む少女アナト(イシュタルの末裔)が織りなす本格SFファンタジー。
古代文明や神話、機会兵など。流行にとらわれない要素が多く含まれている本作品は、私たち大人が、かつて子どもの頃に見たファンタジーアニメやSF映画、あるいは壮大なRPGをプレイした時に得る昂揚感を、深く思い起こさせてくれるような、非常に心の震えるファンタジー作品となっています。
キャラクターは皆、個性豊かで本当にそこに存在しているかのようにリアリティがあり、脳内で映像を見るよう自然と動いてくれます。
主役の二人はもちろん、ザヒル少年、ムウじい、カマル婆、メイ博士……など。
皆、生き生きとしていて、それぞれがそれぞれに、物語を引き立てる役割を魅力的に発揮しています。
イチオシはやはりカマル婆(笑)と、応援したくなる性格のヒロイン・アナトちゃん。あとザヒル少年も好きです。
詳しく書くとネタバレになってしまうので割愛しますが、序章を読み終わった後の余韻がすごい。次章に期待を残しつつも、愛らしさの詰まったこの締め方がすっごく好きです。
ライトSFファンタジー、ということですが、自分はあえてライトを外して本格SFファンタジーとして読みました。
正直、これほど本格的なファンタジーを味わえる作品がWEBで公開されているのがもったいないとすら感じます。
ぜひ紙の小説で、叶うならばアニメや映画(個人的にはRPG的なゲームで)この世界観を味わいたい。
本作を読めば、きっとこの熱い気持ちが伝わるかと思います。
流行にとらわれない壮大なファンタジー作品が読みたい方、あるいは未知なる冒険に旅立ちたい方はぜひ、世界を変える二人の運命の恋、見届けてみませんか?
そもそも、タイトルが素敵でした。
映画や本を選ぶとき、まずはタイトルからです。
読み始めたら、目の前で映画が始まりました。
そう、これは文字で書かれているけれど、映画なのです。
でね。「異世界ライトSFファンタジー」!
わくわくとどきどきしかありません。
宇宙船とか機械兵とか超古代文明とか、大好きなものがぎゅって詰まっています。
わくどきしながら読みました。
あっという間に読んでしまいます、おもしろいから。
物語がふっと消え。
えーと、わたしは笹慎さんに言いたいのです!
続きはっ!?
「さあ、これからおもしろくなるよー!」ってところで話が終わってるー!!
スケールの大きなSFファンタジーはお好きですか?
ん? もう飽きるほど読んできた?
いや、嫌いじゃないけど、あんまり読んだことがない?
宇宙船、ロボット、古代の文明と神話。そして極めつきは、不思議な色の瞳をもつ少女と少年――こんな要素がお好きなあなたには、ぜひともおススメしたい作品です。
本作の作者は、ハイレベルな作品を次々と発表されている笹慎さん。カクヨムには、すばらしい書き手さんがたくさんいますが、笹さんの魅力はやはり、どんな情景でもライトな筆致で鮮やかに描いていくストーリーテリングの手腕だと思います。
笹さんいわく、本作のような「正統派ライトSFファンタジー」って、最近のウェブ小説ではあまり流行らないそうです。え、そうなんですか? そんな意識まったくなかった。
子どものころ好きだったアニメとして、往年の名作『不思議の海のナディア』(超のつく「迷作」でもあります)を挙げる笹さん。
そういうジャンルを好きな人が読むと、いろいろな作品へのオマージュが随所に散りばめられているように感じることでしょう。思わず「こういうのでいいんだよ、こういうので」と言いたくなるはず!
本日(2023年11月5日)締切となる「世界を変える運命の恋」中編コンテスト参加作品です。コンテストの規定では上限が60,000字なので、その範囲で終わるとすれば、まだ物語は序盤を過ぎ、これから盛り上がっていくところ。追いかけて読み始めるなら、今です!
笹慎作品のもう一つの魅力が、個性的で多彩なキャラクター。メソポタミアの神話からとられたらしい名前をもつ主人公二人はもちろん、敵(?)側の登場人物たちもいろいろいわくありげで、この先の展開が楽しみ。
ただ、個人的には、カマル婆ちゃんがイチオシです。