冥王星
知らなくていい…
その大佐の言葉は、やがて長旅を終え、冥王星へとやって来た後も、なおアロウの脳裏に木霊していた。
が、それも共にフェリーを降りた宇宙バイク『ドルガン』(リィツの公用語で『竜』の意)に跨り、当星の風景を目にするうち、いつしか消失。風の中に溶け込むよう去っていくのだった。
「しかし…ここが、かつて『氷の星』と呼ばれた冥王星だって…?」
宇宙空間を行く際には、車体内に半分ほど収納される車輪も、いまはしかと大地を捉えつつ回転。その低く唸るようなモーター音ともども、アロウの呟きがヘルメット内に共鳴する。
にしても、彼が呟くのも当然か。いま彼の目には、氷とは無縁も無縁な、温暖で長閑な田園風景が広がっているからである。
「人工太陽バンザイ…といったところか」
そう、この長閑な風景も、かつて本星〜海王星間において、人工的に打ち上げられた太陽によって生み出されたものに違いない。
また、他に森林も多く見られる本星は、たとえば地球にも少なからずいる、所謂『自然暮らし』を好む者にとっては、まさに理想郷かも知れない。
現に、それを目的に、遥々地球から移民してきた者も、やはり少なからず存在する。
といっても、本星の人口自体が、ほんの微々たるものなのだが…
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