第37話:合格発表
玄関先で。
買い物から帰宅したアカネに、テストの『ちゅー』を成し遂げた、雪人。
その雪人は、黒地に白いレースの飾りの着いた、ゴシック・ロリータの衣装に黒髪ロングのウィッグ。
ぱっと見、そこはかとなく、美少女。
そんな美少女に突然、キスされたアカネ。
しばらくフリーズした後。
「雪人くん!」
雪人に、飛びかかる。
勢い余って押し倒される、雪人。
「雪人くん! 雪人くん!」
強引に唇を奪おうとするアカネをギリギリで押し留める雪人。
傍で見ていた二人の母が、はっとして。
「アカネっ!」
「アカネちゃん、どぅどぅ」
すぐさまアカネを雪人から引き剥がそうとするが。
「雪人くーーーーんっ!」
はぁはぁ、と、荒い息で、雪人にのしかかる。
「アカネ、ストップ、ストップっ!」
美里がアカネをどうにか羽交い絞めにして、雪人から引き剥がす。
雪枝が、アカネを正面から抱きしめる。
二人の母にサンドイッチにされるアカネ。
雪人も立ち上がって、
サンドイッチを横から、抱き寄せる。
「驚かせて、ごめんね……アカネ」
それでどうにか、落ち着きを取り戻した、アカネ。
「写真……」
「え?」
「写真、撮らせて」
スマホを取り出して、雪人に向ける。
「ちょっ」
ぱしゃぱしゃ
「なによ、どうせアルバイトでさんざん写真撮られてるでしょ。わたしにも撮らせてよ」
「あ、いや、それとこれとは……」
「つべこべ言わずに、ポーズポーズ」
ぱしゃぱしゃ
「私も撮っとこーっと」
「私もぉ」
母二人もあわせて、女性陣三人が、スマホでゴスロリ雪人を撮りまくる。
「アカネちゃぁん、並んで並んでぇ、二人で撮ってあげるぅ」
「雪枝ママ! ヨロシクっ!」
雪人の肩を抱いて、アカネがにっこり。
困った顔の雪人と、ツーショット。
ぱしゃっ
「次、私もー」
と、アカネと美里が入れ替わり。
ぱしゃっ
「私もお願ぁい」
雪枝も娘……いや、息子と、ツーショット。
そして、セルフタイマーで家族四人、集合写真。
「それで、テストは?」
ひと段落して、雪人が、母達に。
「ちょっと反則だったけど、合格よぉ~」
「うんうん。お見事っ!」
一応、合格。
ほっと一息の、雪人。
「でも、なんで、ゴスロリ? いや、めっちゃ似合ってるんだけど」
アカネの疑問。
雪人は、自らの考えを披露する。
「なるほど……そう来たか、って感じだけど」
アカネにも理解できる部分がある様子。
「確かに、お母さん達のイチャイチャを見てたら、女同士でするのが普通だと思っちゃうよねぇ」
「え? 私達のせい?」
コクコク
頷く娘二人……ではなく、娘と息子。
ともかく。
合格、おめでとう! 雪人!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます