第31話:休日の終わりに



 母子おやこ四人、買い物も終え、公園でくつろいだ休日の午後。


 帰宅して。


「ふぅ……久しぶりにぃ、歩いたら足がダルいわぁ……」


 最年長の母・雪枝が、少々お疲れ気味?


「雪枝さん、そんな時こそ、例のマッサージ器よ!」


 もう一人の母、美里が今日買って来たマッサージ器を掲げて、進言。


「そうねぇ、お風呂あがりに、試してみましょぅかぁ」


 そんな母達を見て、雪人が。


「じゃあ、晩御飯はボク達で作るよ。母さんたちは休んでて」


 アカネと共に、夕食の準備。




 夕食の後、順番にお風呂に入って、各々リビングでくつろぎタイム。


 アカネと雪人はリビングの大画面テレビでバラエティ番組を見ている。


 その脇で、母二人は買ったばかりのハンディマッサージ器を使って、疲れをほぐす。


 ヴヴヴヴヴヴ……


「あぁ、美里ぉ、そこ、そこ、そこいいわぁ……」

「ここね……」


 美里が雪枝の脚にハンディマッサージ器を当てると、雪枝の表情がとろける。


「足の裏もぉ、やってみてぇ」

「りょーかい」


 雪枝のリクエストに美里が甲斐甲斐しく答えると。


「あぁんっ! やっ! それっ! キくぅぅうう!」


 足裏のツボに入ったらしい。雪枝があられもない喘ぎ声を上げる。


「母さん、うるさい……自分の部屋でやりなよ」


 当然の如く、雪人から大クレーム。


 美里もマッサージ器を止める。


「ぇー」

「あはは。寝室、行こっか雪枝さん」

「むぅ……」


 しぶしぶ。


 寝室に向かう、母二人。


 雪人とアカネはリビングで二人。これで静かに観賞できる。



 母達の寝室では。


「ありがとぅ、美里ぉ。次は私がしてあげるぅ」

「よろしく、雪枝さん」


 と、相互に新しいマッサージ器を使ってのモミモミ大会。


「ん……少し歩いたから、やっぱりふくらはぎが結構効くわね」

「でしょぉ。それからぁ……ここっ」


 つま先を押さえながら、足裏へ。


「んぁっ! 痛い痛い痛い」

「んふふ。ここぉ、効く、でしょぉ」

「はぁ、はぁ。なんか目覚めちゃいそう……」

「ここはぁ、どうかしらぁ」

「んっ!」


 腰から脚の付け根あたりをなぞるように。


「ちょっとくすぐったい、かも?」

「そぉ? それならぁ……」


 太ももの裏側へ。


「やっ! それ、もっとくすぐったい」

「あはは。どこが気持ちいいのかなぁ」


 マッサージ器が、美里の身体中を這いまわる。


「あっ! ダメっ! そこはぁっ!」


 じゃれあう恋人たち。


 大人な夜が始まる。





 一方。





 観ていたテレビ番組も終わって。


「さて、ボクはもう部屋に戻るね。ちょっとやりたい事あるから」

「やりたい事……はっ!」


 アカネが何やら思い付いた模様。


「?」

「そっか、そっか。うんうん。例の本も使って﹅﹅﹅するのね」

「??」

「よしよし。勤勉、大事!」


 なでなで。


 雪人の頭を撫でるアカネ。


「ん。まぁ、そういう事で」

「はぁい。頑張ってね!」


 アカネはまだリビングに残って別の番組を見るらしい。


 部屋に戻る、雪人。



 紙の本ではないが、ネット上にある教本を使って、情報処理系の勉強……プログラミングの学習をしている雪人。


 学校の勉強とは別に、専門知識を独学で。


 大学か専門学校かまだ決めてはいないが。


 いずれにせよ情報処理系を学んで、将来は母の会社で活かせればと考えている。


 そのために、アルバイトで貯めたお金でパソコンも購入。


 まだやり始めたばかりで難しい事も多いが。


 ある意味、パズルゲームのような感覚で。


 少しづつ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る