第25話:家族でダブルデート
軽自動車ながら、そこそこ大きいめのワゴン車。
四人で乗ってもゆったり。
これは、雪枝の車。
普段の通勤は美里の軽自動車で、もっと小型。
今日は全員、と言う事で。
ただし、運転は、美里。
「ナビにそれっぽいお店を入れたから、順番に周ろう」
雪人が助手席で、ナビを操作。
「ええっと、最初は……ネトリ?」
そのナビの表示をちらっと見て、美里。
「違うからぁ、寝取っちゃだめだからぁ。ミトリ、ねぇ、『お値段以上』のぉ」
後部座席の恋人から突っ込まれる。
「正しくは『お、ねだん以上。』らしい……」
その母親にボソっと突っ込む、息子。
休日のドライブは和やかに。
ただ、休日が故に。
「結構、混んでるわねぇ……」
幹線道路はお出かけの車で混雑している。
スムーズに進まず、微妙にノロノロ。ちょくちょく信号にも引っかかる。
おそらく、ひとりで運転していると、イライラ・マックス。
でも、家族皆と一緒なら。
車中、和気
二組のカップルが、イチャイチャ、ダブルデート。
席は離れているので、会話で。
そして、
「ところで、雪人ぉ、
母が息子に、問う。
「あれって?」
息子が問い返す。
母が一言。
「本~」
それだけで思い至る。
「あー……昨日は模様替えで疲れてたから、冒頭ちょっと読んだだけ……」
アカネも同様に。
「わたしも昨日は疲れてすぐ眠っちゃったからまだ
「母さん達は、アニメ、観たの?」
助手席から振り返って後部座席の母に問いかける、雪人。
「私達もぉ、昨日は疲れてたからぁ、まだ観てないわよぉ」
母が眠そうな口調で話すのは、今日に限らず、いつものこと。
「パッケージの解説、読んでみたけど、ほんと、雪人ちゃんにピッタリかもね」
運転中の美里も参加して、話弾む車中。
「着いたわよー」
ミトリの駐車場。
車から降りて、店舗内へ。
「えーっと、寝具は……二階だね」
入り口の店内レイアウトを確認する雪人。
すぐ脇にあるエスカレータに乗って二階へ。
「枕系は……」
つんつん
雪人の肩をつんつんするアカネ。
「ん? 何?」
「んー。枕だけじゃなくて、色々見て周ろ」
つんつん
今度は、母親が息子の肩をつんつん。
「お母さん達も、適当にぃ、あれこれ、見て周るからぁ」
と言って、母は恋人の、アカネも雪人の腕を取り。
「行きましょぉ~」
「行こっ」
二組のカップルがそれぞれ、腕を組んで、店舗内を
「なんか、面白そうなの、あるっかなぁ~」
目的は目的。
枝葉は枝葉。
休日に、恋人と……いや、夫婦で。
ウィンドウショッピングもまた、楽しいひと時。
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