第36話 俺のダンジョンウォッチ


今は夜の9時半。


俺はこんな夜中に、器利さんの研究室にへと案内された。



ガラガラガラ


「汚いけど、どうぞ入ってぇ~」


「はーいお邪魔しまーす、汚な」


「酷いよ~正直に言うなんて~」


「いや自覚あるなら片付けろよ」


「知ってた後輩君?それが出来たら散らからないんだよ」


「そっすね」


俺は素っ気なく返答する。


そして器利先輩は迷い無くこのゴミ箱のような研究室を進み、本の山から一つの時計を引っこ抜いた。


「これよ」


「んなてきとうに仕舞わないで下さいよ、そんな大事なもの」


「大丈夫、何が何処にあるのか全て覚えてるから」


「ええ…(ドン引き)」


やはり記憶力バグってんなこの人。


原作通りで実に面白い。


転生してよかった。


そしてそんな事を考えていると、器利先輩に話しかけられた。


「でね~あの悪いんだけどぉ~、これ試しに使ってくんない?」


「ん?まあ僕としても嬉しい誘いですけど、いったい何故?(すっとぼけ)」


「それわね~、私の職業は改造師て名前なんだけどぉ~、これあらゆるものを、材料さえあれば改造出来るって職業なんだよねぇ~」


「ほぅ、それで?」


「ダンジョンウォッチ改造したらどうなるのかなって思ったの。で、やってみたんだけど、肝心のつける人がいなくてさ。皆入学の時に配られたのを使ってるんだよね。だからダンジョンウォッチは手に入ったけど、つける人がいなくて研究は立ち往生、もうヤバいって訳よ…卒論どうしよ(ボソッ)」


「だから俺にデータを集めてほしいと」


「そう!!」


「成る程、オーケー分かりました。これから宜しくお願いします」


「おお!!やった、二つ返事貰えた!!やった!!」


「じゃあ登録しますよ?」


「勿論、どうぞどうぞぉ~」


「じゃあ、えいっ!!」


テュルリラーン識別名無神天人を登録しました。これから宜しくお願いします。


「……………ダンジョンウォッチってこんな喋るっけ?」


「ああ、それは私が改造したからだよ、凄いでしょ!!」


「ああ、うん凄いですね」


何かダンジョンウォッチが自我を持っているが、俺はほんのりしか気にしない。


何故かって?


いつも原作で見ていたからだ!!


機械が自我を持つとか当然だよね。


「あっそうそう後輩君」


「何ですか?」


「この部屋片付るの手伝って!!」


「俺ちょっと眠いんで、寮に行きます、ではまた明日」


「ちょ、ちょっと待ってよ、この薄情者ぉおおおおお!!」


「片付けぐらい自分でやれ(正論パンチ)」


「ぐふぅ!!(直撃)」


そして俺はこの研究室を後にし、自分の寮へ向かった。




★★★★





俺は寮に辿り着くなり、寮長と一対一で話し合っていた。



「部屋がない?んなわけ無いでしょ、第一もう住む寮とか決められてる訳ですし、無いなんて事は無いでしょ」


「いやーね、ちょっとトラブっちゃって、1部屋使えなくなったんだよね」


「……………何処の部屋ですか?」


「あなたが入る予定だった8人の相部屋」


「で?俺以外の7人は?」


「仲のいい友達の部屋に転がり込んでるよ」


「で、友達のいない俺はどうしたら?」


「同情するよ」


「ふざけんなァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


「ちょ、落ち着いて、冗談だから、ちゃんと部屋用意したから!他の子起きちゃう!」


「……………あるの?」


「あるよ」


「何処?」


「旧寮」


「それってあの古ぼけた?」


「古ぼけたとは何だ!!見た目はあれだが性能はこの寮とそう変わらんよ」


「掃除は?」


「古ぼけてはいるけど、ちゃんと管理してるからな!!」


「古ぼけてるんじゃねぇか」


「黙れ、取り敢えず、旧寮のお前の好きな部屋に荷物を置け、旧寮の玄関にお前の荷物一式置いてるから」


「へいよ、分かりました」


「じゃ」


「ほい、じゃまた」


そして俺は、旧寮に向けて歩き始めた。





………しっかしあれだな。


まさかあの幽霊が出ると噂の旧寮に1人で放り込むとか。


俺が訴えられてたぞ、全く。





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