第108話

 夕食の時間にはまだ2時間近くあったので、ミウとエミリーから寝室に誘われる。


ダンジョンで減った分の魔力を回復させたいらしい。


3人で楽しみつつ、其々に2回ずつ放って汗を流していると、サリー達が帰って来る。


浴室に汗を流しに来た3人の内、何だかサリーだけが疲れているように見えた。


「彼女、どうかしたんですか?」


「サリーさん、3階層で大魔法を使ったから・・」


エレナさんが心配そうにそう言ってくる。


俺は非難するようにサリーの顔を見た。


「済みません。

ですが、今の魔力量なら、以前のように魔力切れはしないと分っておりましたので・・」


事実、きちんと歩けてはいる。


「どうしてそんな状況になったんだ?

ミーナにはまだ3階層は早過ぎるし、エレナさんだって2階層が適正レベルだろう?」


「今日は1、2階層で何も落ちなかったので、頑張っていたお二人に、何かを得て欲しくてつい・・」


「それで、ドロップしたのか?」


「金塊が2つ落ちました」


「ああ、あの500グラムの・・。

サリー、君は今日、夕食抜きな?」


「修さん、サリーさんは私達のために・・」


「分ってるよ。

彼女はこの後、俺と寝て貰うから。

せめて半分くらいは魔力を回復させないと。

・・次に俺のいない所で同じ事したら、当然お仕置きだけど」


「申し訳ありません」


「ミーナの『力』と『体力』、『短剣』が、其々1つずつ上がっているし、頑張ってくれたのは理解してる。

終わったら、屋台の物でも抓んでくれ」


「はい」


「そう言う訳なので、エレナさん、済みませんが他の皆の引率をお願いします」


「羨ましいからキス1回で頼まれてあげる」


濃厚なキスを目にして物欲しそうな顔をしたミーナにも同じ様なことをして、軽く湯を浴びたサリーを自室に連れて行った。



 「『力』と『体力』、『敏捷』、『長剣』が、其々1つずつ上がってる。

もう物理でもそれなりの戦力だな」


既に4回放ったのに、『お掃除します』と言いながら、また立たせてくる。


サリーを回復させるのが目的なので、我慢せずに放ち続けているから、性欲に染まった瞳と、快楽に溺れた身体が、彼女の自制心を若干緩めていた。


「あなたのお役に立つには、まだまだです」


「帝国との戦場に君を立たせるつもりはないから、そんなに急がなくて良い」


頭を撫でながらそう言うと、その手を引っ張られる。


「今度はあなたが上になって」


意識的かどうかは分らないが、体を重ねる際、サリーは俺を『あなた』と呼ぶようになった。


「一体何回するつもりだ?

もう直ぐ彼女達が帰ってくるぞ?

そしたらまた訓練だろう?」


「もう1度だけ。

出す時にはキスをしながらにしてください」


「そろそろ(スキルを)孕むんじゃないか?」


「フフッ、楽しみです」



 訓練を終え、皆が自室に戻った後、大森林の探索に出かける。


エルダーウルフとレッドスライムを出し、弱い魔物は彼らに処理させる。


この辺りまで来ると、もうIランク以下の魔物は見当たらないし、強い相手だとFやGが出て来ることもある。


エルダーウルフはHランクになったばかりなので、あまり無理をさせない。


闇に輝く『照明』に寄って来るキラービーを長剣で切り落とし、彼らに後始末させる。


ソルジャースケルトンやリザードサージャントをメイスで砕いて彼らに任せる。


メイスは、新しいスキルを得るために、帝国兵から手に入れた物を使っている。


金色の点付近に、レイスが漂っている。


『ヒール』で倒すと、浄化される前に穏やかな表情を取り戻した。


木に擬態したブラックスネークの首を刎ね、薬草を食べていた黒豚を狩り、その近くに居たエルダーオークも一緒に倒す。


ここら辺りの薬草は、高品質の物しかない。


修道院のために、なるべくそれらも採取する。


川の流れる音に、そこまで足を運ぶと、大きな黒い蟹が居る。


『名称:リバークラブ

ランク:H

素材価値:身が高く売れる』


1メートル以上ある蟹の甲羅を剣で一突きにして仕留める。


5匹もいたから、売ればどのくらいになるだろう?


腰の上くらいまである水深の場所には、魚が泳いでいる。


『名称:キラーフィッシュ

ランク:H

素材価値:身が食べられる。但し、人間は生食不可』


少し考えて、やなをイメージした柵を『造作』で造り、そこに魔物を追い込んで、槍で倒していく。


どれも大きさが80センチ以上あるから、かなり食べ応えがある。


試しに、1匹を火魔法で焼いてエルダーウルフに与えると、頭と骨以外は奇麗に食べた。


30匹くらい掛かったので、残りは【アイテムボックス】に終う。


その時、頭上を大きな鳥が通った。


その鳥は、『照明』の下に居る俺に気付き、高度を下げて襲って来た。


『名称:フォレストイーグル

ランク:F

素材価値:なし」


翼を広げたその大きさは5メートルを超え、鋭い爪の付いた両足で俺を摑もうとする。


その足を、俺はメイスで思い切り叩いた。


骨が砕ける感触がして、バランスを崩した魔物が地面に落ちる。


そこから先は、一方的な連打。


殺さないように気を付けながら、従属を迫る。


両足と片方の翼を折られ、内臓に相当なダメージを食らった魔物は、すがるように俺の要求を受け入れた。


【魔物図鑑】の該当欄には、体力ゲージをかなり減らした新たな従魔の姿が。


暫くは回復に専念させないと駄目だろう。


探索を再開し、更に奥地へ。


エルダーオークを食べていた、巨大な猪に出会う。


『名称:ウルトラボア

ランク:F

素材価値:肉が極上品として相当高く売れる』


でかい。


10メートル以上ある。


獲物を食べるのを止めた猪が、俺を見て突進して来る。


両足を踏ん張り、向こうの世界で師匠から教わった特別な技、『発気槍』を猪の頭に放つ。


向こうでは体内の気を練って放つ技だが、こちらではそれに魔力が乗る。


拳の接触と同時に魔物の頭が砕け、周囲に飛び散る。


踏ん張った両足が地面にめり込んだ。


地響きを立てて倒れた死体を、【アイテムボックス】に終う。


ウンディーネを呼び出し、体に付着した汚れを落として貰う。


彼女の『放水』は、その水がさらさらして服や体に水分が残らないから、濡れることがない。


終えると報酬を要求されたので、望み通りキスしてやった。


その後、『メイス』のスキルを得るまで探索を続け、拾得品のお金や装備を持ち帰って、朝の珈琲を飲んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る