第14話 新しい仲間…?

試作機が上手くいったようで、ハルトは安堵した。

――この調子で自分にもロマンのある武器を作ろうと考えていた。


「…パンッパンッ」


ミーシャには練習、遊び用に殺傷能力の無いゴム弾を何発か渡した。炸裂弾に比べ作りはさらに簡素なゴム弾は、容易に大量生産が出来るため、とてもコスパがいい。


ミーシャは窓から腕を乗り出し、まるで祭りの射的で遊ぶ女の子の様に楽しんでいた。

…もはやその射撃スキルはただの女の子のものでは無かったが。


「――楽しいか?ミーシャ」


「……!は、はい…」


いつの間に夢中になっていた自分を恥じて、赤面するミーシャ。


「しかし、ほんとに射撃が上手いな」


「い、いえ、そんなことは…」


ミーシャがゴム弾を撃っている様子を見ていたが、ほぼ100発100中。その様はの○太のようだ。

数十m離れている木製の看板を狙ってみたり、蜂の巣を撃ち落としてみたり。…これで蜂が反撃しにやってきたら大きな迷惑だ。


――しばらく馬車を走らせていると、道端にオークが3匹いた。

しかし何だか普通では無い様子だ。

目を凝らして見てみると、オークがスライム1匹を囲って虐めていた。


〉「遠見」スキルを得た。


「――ミーシャ、実戦だ。あのオークを撃て」


「……!は、はい!」


すぐにミーシャは馬車から降り、ゴム弾を炸裂弾に切り替えてオークの頭を狙い撃った。


「――パパパァァン!!!」


連射された3発の弾丸はしっかりとオークの頭を射抜いた。撃たれたオークは為す術なく倒れた。

ミーシャはすぐにスライムに駆け寄り、ハルトもその後を追った。


――スライムも敵対するのかと思いきや、攻撃も何もして来ない。水色でプルプルだが顔は無い。

ミーシャはスライムに手を触れる。


「お、おいミーシャ、危なくないか?」


ハルトは恐る恐るとミーシャを見守るが、特にスライムは何もせずにいる。

ミーシャが手を下に差し向けると、スライムはゆっくりと登った。


抱き抱えスライムを撫でるミーシャ。どうやらスライムはミーシャに懐いたらしい。


「――良かったじゃないか、名前でも付けてあげたらどうだ?」


「な、名前ですか…」


…これはミーシャがスライムを”テイムした”と言えるのだろうか?

直感的にミーシャは名前を弾き出した。


「――ふわふわなので、フ○ちゃんはどうでしょうか?」


「……他の名前、無いか?」


――別に悪くないのだ。悪くないのだが、この先登場する度、名前が伏字されるのはスライムが可哀想だろう。


「では――リリはどうでしょう?」


「―リリか、いいじゃないか」


名付けられたスライムは、喜んでいるように弾んでいる様に見えた。

ハルトは念の為に「ステータス鑑定」をリリに使用した。


―――――――――――――――

〈リリ Lv1272〉

EXP:6566/84376

【年齢】???

【種族】???

【職業】液魔の女王スライム・クイーン

HP:5021/15240

MP:3220/23220

攻撃力:800

防御力:2980

魔法力:3100

幸運:95

速度:1950

【スキル】

「偽装Lv8」

「精密Lv6」

「火炎竜巻Lv9」

「魅了Lv7」

「炎弾Lv10」

「炎槍Lv6」

「水刃Lv6」

「水濫牢獄Lv9」

「竜巻Lv2」

「台風Lv1」

「身体強化Lv8」

「魔力増強Lv9」

「体力再生Lv9」

「防護殻Lv8」

EXエクストラスキル】

完全蘇生パーフェクト・リバイブ

―――――――――――――――


「……!なんだこのステータス?!」


「…?リリがどうかされましたか?ハルト様」


…一見無力そうに見えるこのスライムだが、ステータスを覗けばめちゃくちゃ強い。

その気になればオークなんて一捻りだったろうに、なぜ反撃しなかったのだろうか?


だがリリはミーシャに懐いているようだったのでしばらくハルトは様子見にすることにした。


「…いや、なんでもない。早く出発しよう」


――とても強いスライム?を仲間にしたハルトは、馬に跨ってまた馬車を進めた。

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