第14話 ねえジャンヌさん

「それで、帰ってきたの」

「そう。ジャンヌ、ってのだけよく覚えてる」

「わたしは、もっと、大変だったけどね!!」

「なんで?一緒に海水浴しただけてそのあとの大変な騒ぎ知らないでしょ。それすらも俺の中ではぼんやりした記憶なんだけど」

「わたしは割と覚えてるのよ!言っちゃなんだけどあんたの体つきみたいな?!会社の社長の息子みたいな記憶が!着替えとか」

「えー、早めに抜け出せたから鮮明なんじゃない?ずるい」

おれもジャンヌと添い遂げたかった。

「んで、どうするのよ」

「ああ、結婚して」

「なんでそうなるわけ」

「いや、俺の場合どんな人が認めてくれるかわからないじゃん。だから、まず、結婚を前提にお付き合いすることから始めて徐々に自分のこと決めてこうかなって」

「あんたねえ、べつに、いいじゃ無い。男でも、女でも。もうこれ何回目?私はねえ、奏にはがんじがらめに縛られるずに、自由に天使にもなんでも、とにかく生きていって欲しいのよ!」

「落ち着いて晶。ここ店内」

「もういい、そのジャンヌって呼んできなさいよ」

私たちの今後の人生どうなるわけ……?!」


けっこんしますよ。


胸の大きな金髪の三つ編みの女性が、ぼくらの机をすり抜けて。


あ。


追いかけていいのかな。


待って欲しい。顔が見たい。女性しては高い背丈とヒール。でも声は女性そのもの。


追いかけた。


「ジャンヌさん!」

背の高い彼女がピタリととまる。

あのセカンドライフ、最高でした。

危なかったけど嫌な継母から逃げられて、本当は街の探検や、売られている星の末裔の奪還とか、流行も錬金術も魔術も学びたかったけど!


言いたいこと、伝えたいことはまだある。だけど、そうだ。


「結婚してください」


沈黙が日差しの中、皮膚をじわじわと焼くようにして。

それでも真っ白な素肌の彼女は。


「責任取れるの」

振り返る。


「どんな性でも、愛してみせます」


「さっきの子とは?」

「別れます」

「次から次へ最低」

その場を去ろうとする。


「ねえジャンヌさん」


「最低なことはしませんから今すぐ裸になれてお互いがどんな形してるか、外見だけわかる場所に行きませんか。ぼく手術とかまだなんで」


「ねえジャンヌ」


星の海を渡って巡り合う。


「結婚したい」

ジャンヌが声を絞り出す。ちょうど知人が仲人になってくれますよ。仲介人です。


市役所に行きましょう!




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困っていたけれど夜空の向こう側で聖女が祈ってくれたのでデリケートな話ですがよろしくお願いいたします 明鏡止水 @miuraharuma30

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