14 桂笑金さんをどうにも熱く語りたい・2

2023/07/20(木)


 昨夜の記録。


 昨夜は珍しく大阪市内まで出かけておりました。はじめてツギハギ荘というイベントスペースに行ってまいりました。


 桂笑金さん「CREEPY落語会」が19時30分から行われてまして。

 開演に先立って笑金さんみずから

「暑くないですか」と空調を調整してくださいました。

 貴重な噺家さまの後ろ姿、画像を近況ノートに上げておきたい……せっかくなので!


 「人形」「稚児ヶ淵」「彫刻」の三題。

 堪能しました!


「稚児ヶ淵」は江戸前落語から。その他の話は、笑金さん投稿作品(ココア共和国という定期発行の詩集です)を元にした演目です。

 ……なんだかコーフンしすぎて、よく覚えていない。ダメじゃん!


2023/07/27(木)


昨日ツギハギ荘で行われた落語会の記録


「CREEPY落語会」

チラシには【気持ち悪い 救われない 気味悪い 不快 そんな内容の噺ばかり】と記載されている。

 

 以下——


 ほぼほぼ、ツイッター(エックス?)にアップした、つぶやきのトレースになります。


 開場前にチャリで桂三実さんが来られる

 玄関ドアに据え付けられているポスト? に何か入れたあと 颯爽とチャリで走り去っていく

 貴重な後ろ姿! (エブリスタ「お散歩RAKUGO」に画像あり)


 19時でも空が明るいの! 日本全国各地で「命の危険を感じる暑さ」という予報を外さない一日でしたね。ちなみに京都奈良は39℃という……さすが盆地!


 さて、この夜の演題。


「トランポリン」笑金さん作品


 笑金さんご自身が過去に自律神経失調症などを患っていらしたことを仰っていました。そのときに服用した抗精神薬のことなどをマクラで話してくださったあとに本編突入です。

 ……サゲまでのストーリー展開が徹頭徹尾、ワナビのわたしに突き刺さってきました。決して誇張ではなく、ずっと目が見ひらかれてしまって。

 笑金さんに釘付けでした。もう、この世界をずっと続けてもらいたい……心底から思いました。

 主人公は芸術家としてしか口を糊できるすべがない、だから作品を世に出すだけではなく売れなければ生きる意味そのものがない。

 誰よりも非凡になりたいけれども、なれない。

 どうすればいいのか、わからない。

 己の器の限界を感じて必死にあがき、焦り、悩み、激しく渇望するのは「己を超えたところにある世界」。主人公は薬物に手を伸ばす。

 その薬物の名前が表題。


 薬で朦朧となりながらの独白は延々と続く。


「人間の苦楽は『円』なのか? そうか……陰と陽も、そうなのか?

 そうか……。

 なぜ俺は、円のど真ん中を歩かれへんのや」


(苦楽は、円なのか。と言われたところで「あっ」と声が出そうになったよ。まさに自分が感じていたことだったから)


 遂に崩壊してしまった主人公。

 友人の美術教師が、彼の姿を描きだした絵を生徒たちに見せながら告げる。それは命を大事に、自分を大事に……という薄っぺらいメッセージではない。

 叫び、という表現が相応しい。

「ええか? ここにあるのは『犠牲』や」

 クリエイターという界隈に片足を突っ込んでいる人たちであれば、主人公にも友人教師にも共感できることでしょう。身を斬られ続けるような話でございました。

 それと同時に、桂笑金さんという表現者の凄さをまざまざと心に刻みつけておりました。柳家喬太郎師の演じる「わからない」(故・円丈師作品)や「牡丹灯籠」に匹敵するどころか凌駕していたとも過言ではないと感じます。断言しちゃったよ自分。後悔は致しませぬ。


「もう半分」

 三遊亭圓朝、落語の神さまが作られた古典落語の怪談噺。

 人間の心の闇を、まざまざと見せてくださいました。いやー怖かった!

 同様に

「器」笑金さん作品。

 これも人間が本源的に持っている闇の部分に徹底的にスポットを当てた、笑金さんの新作落語。女性のエゴというだけではなく、誰にでもある支配欲という感情をストレートに演じる笑金さんが末恐ろしい。伝説の少女漫画「ガラスの仮面」ストーリー内で姫川亜弓が言った

「マヤ! 恐ろしい子……!」

 アレそのものです。姫川さんの表情も、そのまんま表現したい自分!


 扇子を妊娠検査薬に見立てた場面では、ゾッとしました。全身が凍りついた、あの一瞬。わたしはその感覚を、一生忘れない人間でいたい。

 この二題も柳家喬太郎師の新作を観ている錯覚に堕ちました。あえて「堕ち」という言葉を使います。

 当然の話ですが落語では扇子と手拭いしか、使えません。しかも、ずっと正座をしている故に動作すべてに制限がかかる。

 だけど、それだからこそ無限の宇宙が拡がっている……と、あらためて痛感をいたしました。目の当たりで、わからせていただいた夜でした。

 


 お見送りでは、こちらがiPhoneを向けると「さっ」とポーズを取ってくださいます。神対応を、いつもありがとうございます。また、この日は桂健枝郎さんが音響のお手伝いに来られていらしたのです。健枝郎さんも、ピカピカの素敵な笑顔を写真に撮らせてくださって有難い限りです……。







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