第17話 で、でたぁ~!
生きているのか?
それとも、死んでいるのか…
確かめたいと思うのに、子供たちはみんな、腰が引けて、誰も近付こう
とはしない。
「おまえ、行けよ」
「え~っ、ショータが行けよ」
押し付け合っていると、棺の中のオジサンの指先が、かすかに動いて…
ゆっくりと、まぶたが動いた。
「うっ、うわぁ~」
「出たぁ~」
ギャーと叫び、ショータもユウジもケイタも…
一目散に、カガリのいる穴の外へと飛び出す。
「おい…人の、ことを…バケモノ扱い、すんなよぉ」
かすれた声で、オジサンがケイタたちに話しかける。
みんなは、穴の縁の壁に隠れて、こわごわとのぞき込む。
「まったく。何やってるのよぉ」
アキは呆れて、その場で見ている。
「おい、おまえたち…何かあったのか?
ここは、どこだ?」
それでも、男が話しかけてきたので、ユウジは
「ひっ」と声がひっくり返り、その場でストンと尻もちをつく。
「なぁんだ。死んだんじゃあないの?」
アキはクルリと振り返り、棺の中のオジサンに声をかける。
「アキ、戻れ!」
「食われるぞ」
「血、吸われるぞ」
「早く、戻れ!」
ユウジとケイタが、代わる代わる怒鳴って、手招きをする。
「何よぉ~見かけによらず、臆病なのねぇ」
ヘラヘラとアキが笑う。
「ねぇ、オジサン!
そんな所で、何で寝ているの?」
そう言うと、棺の中のオジサンに手を貸した。
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