第14話 謎の穴

 以前、厨房があった所は、がらんどうで何もない部屋になっていたが…

「あっ、奥に部屋がある!」

一人歩き回っていたアキが、ポッカリと開いた穴を見付けた。

人が一人入れそうな大きさの穴だ。


「あっ、ホントだ!」

「なに?」

 早速ケイタが、鼻をピクピクとひくつかせて、携帯の光を向ける。

「誰かいるかなぁ?」

「さぁ?」

「行ってみようか」

すぐに五人は、団子状に固まって、そちらの方向へと向かう。

今のところ、人の気配はしていないけれども…

これはこれで、怖いものだ。

ユウジはやや、ビビッているようだ。

誰も何も言わないのに、みんなくっついて、片時も離れようとはしない。

 アキはそんなことは、端から気にせず、スタスタと歩いて行く。

「おい、気をつけろよ」

すぐに、ショータの声がかかる。

「わかってる!」

アキがその声にこたえると…

その穴に、携帯をスッと差し込んで、中の様子をのぞき込む。

「えっ…」

携帯のまぶしい光が、ガランとした部屋を照らし出す。

ひときわ、大きく見えてきたものは…

「あれって、なに?」

どう見ても…そこにはあり得ないものだった。


「まさか…おはか?」

 さすがに、アキは絶句する。

こんなもの…以前来た時には、なかったのに?

「えっ、そんなバカな!」

ケイタが少し強めに、アキを押した。

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