第41話 他の研究所が危機みたいです4

「才羽君にとって、相性のいい相手だったのかな? 俺達には、倒せなかったけどね。面白い効果だと思うよ」


 モンスターの核を渡したら、突然言われた。


「僕の情報は、知れ渡っている? 他の研究所にも?」


「まあ、そうなるね。期待の大型新人だ。黛さん以来だね。一応、第一研究所が、確認されている『覚醒者』のスキルを全て把握しているよ。君はその中でも特に注目されているんだ」


 注目って……。

 僕は、期待されてんだ? こうなると、他の人のスキルが知りたい。


「きゅっ!」


 ここで、メタルが動いた。

 僕から離れたんだ。地面を進んで行く。


「あっ、こら?」


 メタルを追いかける。

 そうすると、草むらにスライムがいた。


「おお? 助かったよ。普通のスライムの見逃しか……」


 別なスライム防衛隊員が来て、金属製の鍋みたいなのが出て来た。

 あれが、スライムを捕獲する檻になるのかな? 大きさ的に、水筒ではいけないだろうし、実用性を考えると、ああなるのか。

 前は、寸胴鍋ごと持って行かれたしね。


「才羽、おつかれ。送る」


「黛さん。待って。話くらいさせてよ」



 車に案内されて、珈琲コーヒーを貰う。


「まず、自己紹介だね。八雲やくもだ。第四研究所を任されている」


 握手をする。


「才羽です。もしかして一人ですか? 『覚醒者』が単独って……」


「そうなる。第一から第四研究所は、一人ずつだよ?」


 黛さんを見る。


「んっ、最精鋭。私は、序列で五番目。六番以降は……、決まっていない」


 序列なんてあるんだ?


「序列は、止めてくれよ。一位だけでいいじゃないか?」


「まあ、そうだけど」


「牧先生は、何位なんですか?」


「牧は……、貴重過ぎ。前線に出せないので、討伐数が比較できない。ランク外」


 序列は、一応つけていると言ったことろかな? 頻繁に入れ替えとかあれば、あんまり意味ないしね。

 ランク外がいる時点で、無意味とも言えるし。

 それにしても一位だけ? 代表ってことかな? 日本代表? その人は、二位以下と大きな差がありそうだな。


 でも、他国には『覚醒者』がいないはずだ。

 そうなると……、全員で集まる時があるのかな?





 夜中だったので、軽く雑談して終わりにさせて貰った。

 詳細は、明日、学校で黛さんに聞こう。

 もしくは、昼間に八雲さんと会ってもいい。テレビ会議でもいいし。

 第四研究所の状態が、知りたい。

 第五と第六との差異を聞いてみたい。特にスライムの発生件数だ。

 世間一般に出ている情報以外が欲しい。


 家に送って貰い、今日は終わりとなった。


「シャワーは、朝でいいか」


 スニーカーを脱いで、そのままベッドに横になる。


「きゅう?」


 そうだった、金魚に餌を与えないとね。

 それと、飲みかけのペットボトルをメタルにあげる。

 メタルは、経口補水液を飲み干した後に、ペットボトルを溶かし始めた。

 引き出しを開ける。


「もう、ダイヤモンドの数が、数十個だ」


 メタルは、何時・何処でダイヤモンドを出すか分からない。

 与えるプラスチックの量に関係なく排出する。

 排出するダイヤモンドの大きさも一定ではないし。


 メタルが、机の上で丸くなった。寝るのかな?

 僕も寝よう。





 朝になり、シャワーを浴びて、朝食を頂く。


「頂きます。――ごちそうさまでした」


「お粗末様でした」


「今日も、スライム防衛隊の病棟ですか?」


「う~ん。最近は、発生件数が減って来ましてね。新規の入院患者が減ったのですよ。応援要請は、あったりなかったりですね」


 先月までが、忙しかったみたいだ。少し安心かな。

 そのまま学校へ向かう。

 そういえば、ロードバイクの人とは、会わなくなったな。



「おはようございます」


「「「「おはよう」」」」


 全員挨拶を返してくれるようになった。大分変ったな。

 僕が第六研究所に移動するのを恐れているのかな?


「お~す。ホームルームを始めるぞ~」


 牧先生も来た。

 出張というか、留学(?)も終わって日常が戻って来た感じだ。


 後は、スライムが出なくなれば言うことないんだけどな。


「なあ、ベヒーモスなんだけどさ~、八雲も参加してくれるって。今日は、フォーメーションを考えようか」


「「「「行かないって言ってんだろう!」」」」


 そうだった……。授業内容と課外授業は不満だったな。


「きゅ?」





 裏設定(作者の頭の中の設定)

 牧と八雲は、歳が近くて第四研究所所属だった。

 第五研究所で、当時中学一年生の黛が見つかり、二人で移籍。黛は〈転移・転送〉が始めから使えた。

 第四研究所は、二軍でモンスターに対応することになる。

 茜・楓・焔が見出されて、八雲が第四に戻る。魔法少女部隊と呼ばれ始める。

 牧が、22歳で教職に就く。

 八雲は、研究者の道へ。

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