第32話 元日会議

〈1月1日〉

実由と初音を琉月の家に呼び、結美子の作ったおせちを食べる。


「うんまぁ!」


「さすがは主婦魔法!この黒豆も美味しいし…。材料から手作りしたなんて信じられないよ!」


「この栗きんとん、めぇっちゃ美味しいよ!もぉ病みつきぃ!」


「あら、ありがとう。嬉しいわ///」


こんな具合でワイワイ食べていたら…


「3人とも!政府の会議に行くぞ!」


「えっ。お父さん?今なんて…」


「だから、今から戦闘委員会の緊急連絡発表会議だ!」


「あ、じゃあ初音と私は戦闘委員会じゃなくて子供科のはずだから会議に参加する必要ないですよね!よ~し!おせち堪能s…」


「実由ちゃんと初音ちゃんも昨日の件で戦闘委員会の配属になった!早く行かなければ!」


「うええぇ!昨日の今日で配属移動して至急会議ってマ?めんど~」


「初音、仕方ないよ…行こっ」


「すまないがそういうわけだ。正午から始まるから準備しておいてくれ。」


「「「は~い」」」


〈12:00〉

会議室に200人弱が集まっている。ドアの前には{古都東京及び関東周辺の戦闘委員緊急連絡発表会議}と書いてある。


会議室の一番前に座っているのは、琉月たち3人と黄金たち4人合わせて7人だ。それに加えて、琉月たちの後ろには戦闘委員会委員長の吉野京一郎だ。


琉「緊張するね~。」

初「大人多いね~。」

実「いや、子供も少なからずいるよ。」


星「やほ~…昨日ぶりぃ…まだ眠いんだよねぇ…」

生「元日から会議とか…めんどくさいな」

恵「眠い…政府の会議で寝るとかシャレにならないんだけどっ⁉」

愛鈴「原稿とかないけど質問とかされたらどーしよ…」


7人でぺちゃくちゃとしゃべる。

そうしている間に空席が全て埋まった。

吉野京一郎が立ち、喋り出す。(【琉「〇〇」】←小声)


吉「今回の連絡と発表は、『魔物の氾濫』についてだ。今回紅坂ダンジョンの5層目から強力な魔物"月狼ルーメン"が大量に地上に出てきてしまった。【琉「ほんとに月狼強いんだよねぇ~」】これは通常ではありえないことであり、日本では初の事例で、異例だ。だが、外国では既に数件、例がある。

色々な情報筋から、これは『ダンジョンレベリオー』と呼ばれるものであることが分かった。【琉「私これ精霊に教えてもらったんだよね~!」】日本で起こったこの氾濫は、月狼ルーメンのレベリオーなので、『月狼ルーメンレベリオー』と言うらしい。月狼ルーメンレベリオーは数百年に一回単位だそうだから、月狼ルーメンレベリオーの心配はしなくていい。【実「よかったぁ…」】

さて、他の国の例を挙げようか。エメルダ国では【琉「あっ!エメルダ!シルディアのとこだ!」初「なんか言った?」琉「(あ、秘密なんだった…)なにも?」】『マルチスパイダー』という毒を持ち、足がめっちゃくちゃある蜘蛛がレベリオーしたらしい。【愛鈴「きゃっ!私蜘蛛やあ…」】

魔物の強さを数値でしか測れなかったエメルダ王族の油断で【琉「いや、日本政府が追いかけるから怖がってシルディアが身動き取れずにそこくにかえれなかったんでしょ!それを油断ってことにするなんて、政府ひどすぎ!」】エメルダ王国は甚大な被害を被ったそうだ。我々は被害を被らなかったが、油断してなかったわけではない。【初「いや、油断しまくってたよね⁉」】

だが、被害がなかった理由は、この7人の子供たちの危機察知能力と水際対策のおかげだ!!」


琉月たち3人と黄金4人に一斉に注目が向く。


シーンとした空気の中、沈黙を破った人がいた。


「へぇ。この子たちが。開明第三中学校一年生の幸野谷さんと本宮さんと栄木さんよね?あと、私と同じ学校の金月銀花女学院中学部一年生の黄金星子さん生可さん恵里さん愛鈴彩さん。不思議ね。幸野谷さん達3人の担当は紅坂ダンジョンだから、レベリオーの対策が出来たのは分かるけど、黄金さんたちの担当ダンジョンは白角ダンジョンでは?」


開明第三中学校3年生の美影みかげれいだ。記憶力が半端じゃなく良く、魔法はまったく関係ない雪魔法。とても重宝され、記憶力が良すぎて敬遠されることもあるLv.26の天才だ。

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