第28話 すべての月が満ちる

「え、どゆことどゆこと?」


「解釈して、教えてアリス〜!」


「えーと…月狼ルーメンは満月じゃない場所には行けないんですね?んで、昼間は消えてるんですけど…。もしかしたらこの言葉の意味は、「ダンジョンのすべての層と地上のすべての月が満月になってダンジョンから月狼が溢れ出す」という意味では?」


「えっヤバいじゃん、それガチ?」


「ガチです。ダンジョン氾濫レベリオーと呼ばれる現象です。何かしらの条件が揃ったときに起こる魔物がダンジョンから出てくる事で、珍しいですが、存在する現象です。…月狼ルーメンはウソを付くことがそんなにないので、本当かと…。」


「ずいぶんヤバいじゃん…。政府に言って注意喚起と対策をしてもらわなきゃ!」


「とりあえず今日は寝よう?深夜だよ?」


「だね。寝よ〜」


「まぁ、5日後だし、今気にして寝不足になってもいけないしね。おやすみ…って初音は既に寝てるかw」


「ぐーみーく゜ーぴすかすかっぴ」


「相変わらずひどいいびきだねw」


「琉月もじゃない?」


「失礼なっ!…そこまで否定できないけどさ?…実由もいびきやばいでしょ?」


「///まぁ…うちら皆いびきがヤバいから///おあいこってことで…///」


「あ、あと、またしても眠りを妨げられるって事にならないように、もう目覚まし用精霊召喚しとこーっと。『召喚!出でよ!オーブのひかり!』」



〈12月27日の朝〉


ひかり「あの…琉月様達…朝ですよっ!」


琉月「うにゃ…(ドカッ←床を蹴る音」


初音「はにゃ…」


実由「みにゃぁ…」


皆「ハッ!」


ひかり「うわぁ!?」


3人は一斉に起きた。


琉月「今日の1時頃からタピオカ特集!」


実由「楽しみにしてたの!」


初音「絶対見たい!早く準備しようっ!」


実由「よ〜し!じゃあ帰ろう〜!」


ひかり「あ〜はい!お手伝いします!あ、あと、月狼ルーメンの月魔石はリュックに入れておきました。」


琉月「ありがと〜!…月魔石?」


ひかり「特殊な黄魔石だそうです。アリスさんに教えてもらいました!」


初音「へ〜」


〈12時〉


精霊たちは『帰還』で返したあと、ダンジョンから出て政府の迎えに応えた。

政府に、サンドツリーという血で凶暴化するレアな魔物がいること、魔物が氾濫するかもしれないこと、しかも氾濫する魔物はとても強力な月狼ルーメンだと言うことを話した。


政府役人「ふむ…。けれど、一夜が経てば、るーめん?は消えるのだろう?時間がないし、色々忙しいから材質は木にしておくが、その日までにはとても分厚い木壁ができているはずさ。心配しなくていいよ。」


琉月「えっ!木ですか!?月狼ルーメンの毛皮はすごい熱いので、木も燃やせるんじゃないかと思います…。」


政府役人「今までにそれほどの熱を持った魔物は確認できていない。フラムティラー(炎を吹くライオン)の炎ですら、木を着火剤もなしで燃やせないんだからな。」


いや〜月狼ルーメンは規格外だろ…と思う琉月達だった。

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