第144話 仕分け作業はもふもふと

ギルドを出たあとは食材をいっぱい買って、家具屋さん?でちょっと高級な羽毛布団を買った。


ネージュグースっていう大きなガチョウの魔物の羽で作られてるんだって。冬になるといっぱい現れるから冒険者には人気の魔物らしい。


一緒に少し分厚いタオルケットも買った。毛布みたいなもこもこはなかったけど、似たのがあったから即決。これで随分暖かく寝れると思う。


「そのままアマンダのところに行こう。冬用の部屋着買ってないよね?」

「あ、そう言えばそうだ。ガウンはあるけど。」


ってことで寄り道。冒険用の暖かいのもあったら買おうと思います。


「いらっしゃーい、って久しぶりね。って見たことない服着てる。どこで買ったのかしら?」

「お久しぶりです。王都のアウグストさんのお店で買いました。」


「あぁ、なら間違いない品ね。今日は何を?」

「冬用の下着とか部屋着と、冒険用のを数着買いたいです。」


「オッケー、下着類は持ってくるからその間にその辺の服見ててー」


バタバタと何処かに消えてしまった。戻ってくる前に選んじゃおう。


「この辺のいいんじゃない?」

「ほんとだ、暖かそう。それに柔らかいから動くのも楽そうだね。」


〈リン、これ〉

〈ん?ディアも気になるのあったの?〉


〈いや、この服に使われてるのは魔物の糸だ。鑑定してみたらいい〉

〈魔物?〉


−−−−−−−−−−−−−−−−−−

名前 ニット(シルクスパイダー)

特徴 シルクスパイダーの糸で作られた保温性の高いニット

備考 (肌触り抜群、暖かさ抜群、掘り出し物!)

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「シルクスパイダーってなんだっけ」

「え、なにそれそんなの売ってるの?どれ?」


「これ。珍しいの?」

「ダンジョンと森の奥でたまに見かけるクモだよ。臆病だから滅多に現れなくて珍しいから、それで作られる服も高級品扱いのはずなんだけど。」


「普通に売ってるね。少しだけ高いくらいで。」

「どーいうことだ?」


色違いで2着確保。暖かそうだし動きやすそうだし買わなきゃ損だと思うんだ。


「お待たせー、この辺から選んでね」

「ありがとうございます!」


持ってきてもらったパジャマを選ぶ。下着はもこもこの毛糸のパツンと靴下があったから、それは必須。この世界にも毛糸のパンツってあるんだね。


「アマンダ、これは何?」

「何ってニットよ。」


「高級品の、ニットね。なんでこの値段で売ってるのって意味なんだけど」

「あー、バレたか。私の知り合いが魔物とお友達になったみたいで、定期的に糸をくれるのよ。だからその値段。気付かれなきゃセーフでしょ。」


「聞かなかったことにする。」

「そうしてー」


知らない方がいいこともある。うん。クモさんとお知り合いの人が狙われても困るもんね。でもこのニットは欲しいのでニコニコで購入。


パジャマも長袖のを数着買って大満足。これで冬は乗り越えられそうです。


「ありがとうございました」

「またね〜」


いい買い物が出来て満足です。


〈よくわかったね〉

〈魔物の素材が使われてたらある程度分かる〉

〈クモさん食べるの?〉

〈食わん。〉


食べ物の認識ではなかったらしい。肉食のディアには物足りないか。


お家に着いたら買ったものを整理して、私は畑と作業小屋。


「みんなおはよー」

『おはようおはよう』

『お水お水!』

『クッキーだしてー』


みんな元気。魔法でお皿に水を出し、クッキーもわさっと盛ったら、今日の薬草の水やりは水道から。魔法でやってもいいけど、こっちの方が育ててる感あって好き。


育った分を摘み取ったら妖精さんたちとバイバイして作業小屋にレッツゴー。


〈軽くお掃除しよう。〉

〈それがいい。〉


〈窓開けて風回すね。下見てきてくれる?〉

〈分かった〉


ずっと閉め切ってたから空気が悪かった。寒いけど窓を開けて思いっきり空気を回せば、すぐにキレイになる。あとはクリーンかけたり道具拭いたりするだけかな。


〈下は特に問題ない。元々地下だからな〉

〈ありがと、そりゃそっか。なんかすごい結界も張られてるみたいだしね〉


〈そうだな。作業するんだろ?〉

〈うん。ラグに座ろ〉


〈相変わらず好きだな〉

〈へへー〉


ラグにクリーンをかけて軽く整えたら、ディアさんソファでもふっとしながら薬草の仕分け作業。


〈妖精さんたち、すごく綺麗に摘み取ってくれてるみたい。あんな小さい手でどうやって取るんだろ〉

〈魔法だろ〉


〈魔法使えるの?〉

〈草や木に干渉するのは得意なはずだ〉


〈お水の妖精さんも?〉

〈出来ないことはないだろうが、フラワーフェアリーの方が得意だろうな。ノームは飛ばないし飛べない〉


〈あ、土の妖精さんって飛べないんだ〉

〈飛ぼうとも思ってないはずだ。土と綺麗な水があれば満足する。〉


〈たしかに。ずっと土の上ぴょんぴょんしてるかも。〉


お話しながら1回に使う分をまとめていく。だいたい10枚くらいずつ。お外に行ってないから草紐がもう少ないや。また次行った時にいっぱい作らなきゃね。


〈こんなのんびりするのも久しぶりだね〉

〈色々ありすぎた〉


〈もうゆっくり暮らしたいよ。ディアと森に行ってポーション作って、畑のお世話して料理してたまにぐーたらして。〉

〈ゆっくりではないな〉


〈んー。好きなことして暮らしたい!〉

〈そうだな〉


〈ってことで明日は森に行こうね〉

〈わかったよ〉


たまに休憩しながら作業して、一通りまとめ終わった。ちょうどお昼の時間だからお家に戻ってフランクさんとお昼食べて、ちょっとのんびりしたら午後はポーション作り。


またディアとお話しながらお店に出す分を作ってたんだけど、大変なことに気づいてしまった。


お店に並べる用のポーション瓶はキレイに箱に入ってるんだけど、そこに入れ直して気づく。どうやって運ぶんだ?


ってことでフランクさん召喚。ポーションがいっぱい詰まった木箱を地下に運んでもらいました。


「これ問題発生だね。」

「毎回地下に運んで取り出してって大変だし、わたしは運べない。」


どうしたものかと2人と1匹で悩んだんだけど。木箱に時間停止を付与してもらえばいいのでは?ってことになった。


そしたら箱に入れたまま保管できるし、運搬も心配ない。そしていっぱい作っても問題ない!


ここで登場便利なイヤカフさん。お困り事をそのままガイトさんに伝えてもらいしました。色々と決めなきゃいけないからね。


問題は丸投げしてとりあえず作れる分を作りまくった。取り出す時もみんなにお願いします。


〈人づかい荒くなったな〉

〈そんなことないもーん〉


子どもには出来ないことがあるんです!って言い訳なんだけど。みんなだから頼めるんだよ。


手伝ってもらったかわりに、夜ご飯の準備を私が手伝った。これでおあいこです。


明日もギルドで話し合いするみたい。商業ギルドの人も来るんだって、なんか大変そう。


箱のこともカラー紐のことも、全部まるっと決めてくれるみたいだから私は心おきなく森に行きます!


楽しみだねー。

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