第143話 日常のはじまり
起きたら白に埋もれてたリンです。おはようございます。窒息する。
〈おはようディア〉
〈あぁ、おはよう。寒そうだった〉
〈毛布買わないとだめかも。これでも寒いね〉
〈今日買えばいい。金に余裕はあるんだろ?〉
〈あるある、全然ある。フランクさんにお店連れてってもらお〉
〈そうしろ。〉
昨日冬用の分厚い掛布団を準備してもらったんだけど、それでもちょっと肌寒かった。お金はあるし毛布が売ってたら欲しい。
王都で買った冬服に着替えて下に降りると、もうみんな集合してた。起きるの遅かったかな。
「おはようございます。寝すぎた?」
「おはよー、みんな体力有り余ってるだけだから気にしなくていいよ。ご飯食べよ」
すでにご飯が準備されてた。やっぱりちょっと寝すぎちゃったみたい。
「ちなみにこれは双子がやらかした罰として作らせただけだからね」
「やらかした?」
「夜中に騒いだ罰」
「なんでまた夜中に…」
〈リンを覗こうとした〉
「はいぃ??」
「夜中に2人でリンちゃんの部屋を覗こうとして、ディアに見つかって怒られて僕たちに引き渡されたんだよね。」
「なんだそれ。」
「ぐっすり寝てるのに起こすなってディアに怒られて、朝からガイトたちと動いて朝ごはんの準備もさせたってわけ。」
ソファーを見ると2人がだれてる。でろーんなってますが。
「カルダはちゃんとクソガキだけど、アルダもなんやかんや怒られること多いんだよ。アルダが誘ってカルダが悪ノリするとかね。」
「最近は自分より年下のリンが来て落ち着いたと思ったんだけどなー、まぁガキだわな」
フランクさんとガイトさんにズバズバ言われてる双子さんたち。なお、反省はしていないみたいです。ちゃんといたずら小僧だな、この兄弟。
「食って落ち着いたらギルド行くから準備しとけよ。」
「何か持って行く物ある?」
「いや、寒さ対策。こっち王都より寒いから。」
ガイトさんが言うんだから温かくして行こう。
「わかった。そうだフランクさん、帰りにお布団売ってるお店に行きたい。」
「そうだよね、子どものリンちゃんにはさすがに足りないよね、準備不足でごめんね。こいつら筋肉の塊だから寒さの基準おかしいんだよ。いいの買おうね」
「メンバーカードで買えよ。」
「えー、自分で買うよ?」
「みんな布団はメンバーカードで買ってる。好きなの選んでこい」
「はーーい。」
ガイトさんからカード使えと言われたら、使うしかないんだよね。自分で払うって押し通してもいいけど今回は甘えようと思います。
食べ終えたら、もこもこになって出発。双子とレイさんは森に出るらしい。3人でイヤカフ着けて会話しながら活動してみるんだって。
ガイトさんとフランクさんも着けてる。私は今日お買い物したら家でポーション作るし、基本1人にならないから着けてないよ。
4人と1匹で歩いてると、声をかけられた。
「お久しぶりね!急に見なくなったから心配してたのよ」
「そうそう、もしかしたら事件に巻き込まれたんじゃないかって。無事でよかったわ〜」
よく合うお母さんたち。そりゃ心配かけちゃったよね、急にひと月近くいなかったんだもん。
「ご心配おかけしました。急に王都に行く事が決まったのでご挨拶もできなくて。」
「いいのいいの、元気ならそれでいいのよ。また晩御飯の相談にのってね、あとは次遠出する時に一言くれたら嬉しいわ。」
「はい、必ず。」
「少ないですが王都のお土産です。ご家族と食べてください」
手渡したのはおしゃれな入れ物に入ったクッキーの詰め合わせ。手作りじゃなくて、本当に王都で買ったやつ。私じゃなくて双子とフランクさんが用意してくれたんだけどね。
絶対に必要になるからって出る前に渡されてびっくりした。有能すぎません?
「まぁわざわざありがとう!みんなでいただくわね。」
「困ったことがあればいつでも声かけるのよ、女の手が必要なこともあるでしょうからね」
「ありがとうございます。」
声をかけてくれた人には渡していく。いっぱい買ってくれてあるから、配っても大丈夫。
「フランクさん、ありがとう。」
「お役に立てて何よりです。」
コソッとお礼を言えばウインクされた。なんだこのカッコいいおじさまは。反則だ。
何人かと同じようなやり取りをして、ギルドに到着。向かうのは借りてる奥の部屋。顔見知りの受付の人に手を振れば小さく返してくれた。ただいまです。
椅子に座って元の大きさに戻ったディアをもふもふしてたら、ドアがノックされた。入ってきたのはギルマスさんとユシリスさん、サリアさんとロレンさんの4人。
そして私を見たサリアさんが駆け寄ってきて。
「心配しました。ご無事でよかった、本当に。」
「ご心配おかけしました。みんな助けに来てくれたし元気です。」
ぎゅーと抱きしめられる。急なことに驚いて固まったけど、背中をもふっとディアが支えてくれてされるがまま。大人しく包まれてます。
「お元気そうで何よりです。」
「ロレンさんもご心配おかけしました。」
「サリアと僕からのプレゼントがあるだよ。出してあげてください。」
「そうね、ごめんなさい。これから寒くなるからリンちゃんにプレゼント。森に行く時にでも使ってね。」
小さいカバンからシュルっと出てきたのは淡い水色の可愛いマフラー。暖かくて肌触りが最高。
「ありがとうございます!大切に使います。」
「いっぱい使ってくれたら嬉しいわ。」
「そうそう、いっぱい使ってね。」
首に巻いてもらって私もふわもこになった。ディアみたいだね。
「元気そうだな。」
「お久しぶりです。」
「はい。お久しぶりです、ご心配とご迷惑をおかけしました。」
「そこは気にしなくていい。守ってやれなくて悪かった」
「囮にさせてしまい、申し訳ありせんでした。」
ギルマスさんとユシリスさん2人そろって頭を下げると同時に、サリアさんとロレンさんも頭を下げた。違うよ。私が言い出したことだから。
「私のわがままでした。はやく解決したかったのと、狙われる事にムカついたこと。皆さんには感謝してもしきれません。」
「それにもっと大変な仕事を持ってきちゃったので、力を貸してください。お願いします。」
ペコっとすると保護者サイドから笑いが。この声はガイトさんだな…と思って見ると、ナリアルさんも肩を震わせてるし、フランクさんも普通に笑ってる。
「ホントに大変な仕事を持ってきた。しばらくはサリアとロレンの2人にもこっちを手伝ってもらいたいんだ。」
「承知しました。会議はここで?」
「いや、ギルマスの部屋に行こう。」
「僕とリンちゃんは帰るから、あとはよろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
部屋を出ようとすれば、みんなに頭をぽふぽふされる。我ながら厄介者な自覚はあるのに、ここまで心配してくれるのは嬉しいくて、少しくすぐったい。
みんなとバイバイしたらフランクさんとディアと、お買い物です!
良いもの買えるといいな。
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