第91話 はんばーーーーぐ

ポーション作りを許されたリンです。午前中いっぱい畑のお世話をして、お昼を食べて今は午後。これからポーションをいっぱい作ろうと思います。


〈なんかものすごく久しぶりな感じがする。〉

〈たった数日、されど数日。〉

〈ほんとに。数日あなどれん。〉


ここ数日の薬草は摘んだままの状態で全部カバンに突っ込んである。処理もなにも出来ていないから今日はそこから。


〈大量だなー。〉

〈時間はあるんだ、ゆっくりやればいい〉

〈そーだね。のんびりやるよ〉


薬草を軽く水で洗ったらザルに並べる。水分を拭き取って乾かしたら、10枚ずつ草紐でしばって棚にしまう。乾燥させるやつはそのまま置いといてディアにちょっとだけ風を出してもらう。


今日使う分だけ茹でてアク抜き。この作業地味だけど好きなんだよね。


〈何味がいいかな?〉

〈リンの飲みたい味にして数本余分に持っておけ。今後何が起こるか予測できん。〉

〈そーする。甘いのとサッパリなの作ろーかな〉


上級2種類とMPポーションを作ったら瓶に入れて保管用の棚にしまっていく。それぞれ3本ずつ神様カバンに入れたら、冒険用の方にも2本入れておく。どっちかが使えなくなっても大丈夫なように。備えあれば憂いなしってね。


〈なんか早く終わっちゃった。〉

〈また料理でもするか?〉


〈んー、ご飯決まってたら申し訳ない。〉

〈あいつならさっき帰ってきたぞ。準備してるんじゃないか?〉

〈行こう行こう、突撃だ!〉


片付けをしたら小屋を飛び出してキッチンにダッシュ。お庭で打ち合いしてた双子に見られたけど気にしなーい。


「フランクさーんご飯の準備してる?」

「あれ、リンちゃんおかえり。これからだよー」


「作るもの決まってる?」

「決めてないんだけど、珍しいラディッシュが売ってたから買ってきたんだ。これ知ってる?」


「あ、大根だ。」

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名前 ラディッシュ(ダイコン)

特徴 他のラディッシュと比べ甘みが強い。

備考 生でも食べられる(おろしオススメ。)

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うん、鑑定の結果もちゃんと大根。


「ダイコンって言うんだ。普通のラディッシュと同じで良いのかな?」

「こっちのほうが甘みが強いから、煮ても焼いても生でも美味しいって。」


「それは助かるな。良いメニュー知ってる?」

「んー。煮物は間に合わないから、おろしハンバーグはどう?」


「ハンバーグは聞いたことがないね。よし、お願いします先生。」

「使うのはひき肉とオニヨンと卵。パン粉入れると美味しいんだけど、もったいないから入れない。」


「おっけー、ダイコンは任せて良い?」

「うん、魔法使って細かくする。その前にオニヨンのみじん切り作るからボウルに入れてください。」


ひき肉に塩とコショウを入れたら粘りが出るまでまぜて、みじん切りの玉ねぎを入れたらまた混ぜて、といた卵を入れてまたまたよく混ぜる。あめ色玉ねぎを入れるって言うけど、私はゴロゴロ入ってた方が好きだからそのまま入れちゃう派。

 

手のひらサイズの塊を取ったら平らにして、ペチペチ投げて空気をちらす。手が温かいと脂が溶けてドロドロになるから、なるべく冷やしつつやる。


「表面を強火で焼いたら、火を弱くして蓋をしてじっくり蒸し焼きにするとふっくら焼けるよ。」

「ありがとう、やってみるよ。」


一通り説明したらメモを書いて渡して完了。私は大根おろしとポン酢作り。適当な大きさに切って皮を剥いた大根をボウルに入れたらトルネードをだして粉砕。少しつぶつぶ感が残るくらいで止めたらこれで終わり。


ポン酢はショユとお酢とレモンで作れる。昆布のお出汁とかで作れば美味しいんだけど、そんな物はないから超簡単バージョンで許してね。


「フランクさん、これ味見お願いします。」

「すっぱっ。」


「すっぱすぎた?少し薄めたほうがいいかな。」

「うん、少し刺激が強すぎるかもしれない。」


食べ慣れてないと酸味はキツイよね。火を通して酸味を飛ばして、少しだけはちみつ入れよう。ほんの少しだけね。


せっかくだからサラダも作る。ダイコンを細切りにして塩もみしたら、洗ってよく絞る。水気がとれたらいつかのタイミングで作ったマヨネーズで和えて、薬草を切って散らしたらレタスの上に盛って完成。薬草の味はただの大葉だからね。回復効果もあるし美味しいから使っちゃう。


「今日もリンちゃんメニューで新種のハンバーグ。こっちが甘みの強いラディッシュのダイコンを使ったソースなんだけど、酸味が苦手な人はステーキソース使ってね。じゃあ食べよう」


いただきますをしてサラダを一口。まったりマヨと甘いダイコンがよく合います。大葉も爽やかになって美味しい。欲を言えばカニカマとかあったらもっと美味しくなる。


ハンバーグは切るとジュワッと脂がしみ出てしっとり仕上がってる。さすがフランクさん、火加減かんぺき。美味しすぎる。


「ハンバーグこのままでもいいのに、このソースで食べると無限にいけそう。」

「君たちの無限は冗談じゃ済まないから怖いんだけど。」


カルダさんがガツガツ食べてるのを見てちょっと遠い目をしたフランクさん。お肉の粉砕はやりますよ。


「このサラダも美味しいです。薬草を食べるなんてリンさんは面白いことを考えますね。」

「だって前の世界では似た葉っぱを薬味として使ってたから。」


マヨ和えは驚かれたけど好評。ハンバーガーも作れるようになったし、トマトケチャップでも作ってみようかな。トルネードが優秀すぎる。


ディアはソースをつけずに、塩コショウのみのハンバーグを堪能してる。お肉本来の味がして美味しいらしい。生肉もどっさりあるけどね。


大満足のご飯終えたら、今日はカルダさんのお部屋にお邪魔します。


カルダさんのお宝はいろんな種類の魔石と、魔石に魔法を刻んだ魔法石だった。宝石みたいにキラキラ光ってるのもあれば、石みたいなのもあって見て楽しい。実際は石に見えるような魔法を付与してるらしいんだけど、あえて鑑定はしないで見て楽しんだ。


作る側のお話は聞いてておもしろいから、つい夜ふかししちゃってお隣のガイトさんに怒られちゃった。ディアもちょっと呆れてた。後悔はしてない!


ベッドを借りてディアと寝る。カルダさんはなにやら高級そうな寝袋に包まって幸せそう。


明日起きれるかな?ちょっと心配だけど、今日はもうおやすみなさい。

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