第77話 お手伝いの仕事

昨日はお料理をして作りたい欲が満たされたので、今日は依頼を受けようと思ってますリンです。


昨日のうちに迷子さんが見つかったらしく、今日の予定がない大人たちはそれぞれ行動するみたいなので、1人でギルドに行きます。


とその前に、前回採ってきた薬草を植えるのを忘れてたから畑で作業。時間経過しないカバンに入れてるけど、はやく植えてあげたい。


空いてるスペースに植えたらお水をやって完成。種じゃなくて株分けで育てるから、たぶん失敗はしないと思う。これで薬草6種類コンプリート。育てばいつでもポーションが作れる夢の環境の出来上がり。


満足したからギルドに行きます。今日も畑で採れた薬草をちょっとだけ持ってきたから、一緒に納品します。


〈どんな依頼があるかな。〉

〈楽しいか?〉


〈うん。元気になって動けるようになったし、前の世界で読んでた物語みたいな生活で楽しいよ。〉

〈よかったな。体力もついたんじゃないか?〉


〈ディアもそう思う?やっぱりついたよね!1日動けばそりゃあ疲れるけど、それでもだいぶ動けるもんね。〉

〈あぁ、そうだな。少しふっくらとして健康的になったのもあるだろう〉


〈太ったかな。おやつも食べてるしフランクさんのご飯美味しいんだよね。〉

〈もっとふっくらしてていいと思うぞ。痩せすぎて不安になる。〉


〈ありがとう。背も伸びたらいいんだけどなー〉

〈これからだ。〉


まだまだ体は平均以下で小さい。もっと動いて大きくなりたいです。


ギルドの依頼板で私でも出来る仕事を探してたら、お手伝いの依頼が貼られていた。内容は家の中のお片付けと整理、掃除などなど。ひとり暮らしのおばあさんの依頼みたいで、緊急ではないけど困ってるみたい。これにしよう。


「ロレンさんおはようございます。これ、お願いします。」

「おはようございます、リンちゃん。この依頼受けてくれるの?ありがとう、ちょっと待っててね。」


受付にいたロレンさんに依頼票を出して受注の処理をしてもらう。終わったら専用の紙にサインをもらって、それを提出したら依頼完了になるらしい。


「これが家までの地図で、こっちの紙にサインを貰ってきてね。そんなに遠くないんだけど、1人で行ける?」

「たぶん大丈夫です。」


「分からなかったら僕が一緒に行くから戻っておいでね。」

「はい、ありがとうございます。」


「うん、行ってらっしゃい。」

「行ってきまーす!」


地図を見ると大通りから少し入った道の奥、突き当りの家らしい。そこまで難しい道のりでもないのでディアと一緒に歩いて向かう。


〈あっ、ディアがいても大丈夫かな?聞くの忘れちゃった。〉

〈入れないのなら外で待っているから気にするな。何かあれば飛んでいける距離にいるよ。〉


〈ありがとう。優しい方だといいね。〉


ギルドから歩いて10分くらいで着いたのは大きなお家だった。紅嵐メンバーの住むお家よりは小さいけど、周りに比べたら大きいしお庭も広い。あまり手入れが出来ていないのか、雑草が生え放題になってる。


門から入って扉を叩くと優しそうなおばあちゃんが出てきた。杖をついていてちょっと歩きづらそう。


「ギルドの依頼を受けてきました、リンです。」

「あらまぁ、可愛い子が来てくれたねぇ。お掃除とかを頼もうと思っているけど大丈夫かい?」


「大丈夫です。あの、この子も一緒に入って大丈夫ですか?」

「あら、かっこいいお友達ね。お嬢さんのナイトかしら?どうぞ入って入って。」


「おじゃまします。」


お屋敷に入るとちょっと埃っぽい気がした。1人でここを管理するのは大変そう。


「数年前まで夫と暮らしていたのだけれど、亡くなってしまってね。広くてすべて管理するのは難しいんだよ。最近になって足を悪くして、余計に何も出来なくなってしまってこの通りさ。」

「わたしが出来ることなら全部やります。まずは何をしますか?」


「そうだねぇ。お掃除を頼めるかい?1階と2階の数部屋なのだけれど。」

「はい。道具をお借りしてもいいですか?」


「もちろん、道具部屋に案内するよ。」


1番階の奥の物置部屋にあった掃除道具を借りたらお仕事開始。入っちゃいけない部屋の説明を受けたらおばあちゃんには2階のお部屋で休んでてもらうことにした。


〈ディア、出来るだけ窓を開けてきてもらえる?〉

〈了解した。〉


小さいディアはピュンッと走って行った。器用だし鍵があっても開けられるからお任せ。


私は魔法を使って風を通して空気を入れ替え、ほうきで埃を集めていく。窓拭きもしたいけど背が届かないから諦めた。ひと通りゴミをまとめたら雑巾で拭き掃除。どうやったのか分からないけど、器用に床拭きを手伝ってくれたディア。


お風呂場はタイルを綺麗に磨いて風をよく通したら、湿気を飛ばして拭き掃除。取れない汚れは水鉄砲みたいに魔法を使って水圧で何とかした。


キッチンの掃除をしていたらおばあちゃんが降りてきた。


「せっかくだからお昼ご飯を作ろうと思うんだけど、食べられない物はあるかい?」

「ありがとうございます!食べれないのはないです。今のうちに2階の掃除をしてきますね。」


「助かるよ。出来たら呼ぶね」


〈今のうちに上の掃除を終わらせちゃおう!〉

〈了解。急ぐ〉


ディアと2人であっちこっち走り回りながら掃除をしていった。1階よりも部屋数が少ないからそんなに汚れもない。入らないように言われた部屋だけ残して廊下も綺麗にしたら、ご飯が出来たと呼ばれた。


準備してあったのは平パンとお肉と野菜の煮込み料理、フルーツジュースとサラダ。


ディアにはフランクさんに作ってもらった。お弁当も渡して食べてもらう。もったいないし、ディアには足りないと思うし。


次にお手伝いの依頼を受けるときには屋台で買うとかも考えた方がよさそう。


おばあちゃんとのんびり食事をした後はお部屋の確認をしてもらって、完璧に出来てたと褒めてもらった。窓を全部しめたらお掃除完了。


午後は別のことをします。

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