第74話 楽しいお仕事は存在した

しばらくディアをもふもふしてると、ロレンさんとサリアさんが箱を抱えてお部屋に入ってきた。と思ったら、何回か往復して部屋にある棚が箱でいっぱいになった。


一応座って待ってると作業を終えた2人もそろって着席。説明してくれるらしいです。


「まずこっちの棚にあるのが薬草ね。ギルドでも仕分けてはいるのだけれど、たまに別のが混ざってるからそれを見つけてほしいの。ただの雑草ならこの箱で、それ意外は種類別に分けてほしいわ。」


部屋に入って目の前の棚。小さい箱がいっぱい並んでるけど、全部魔法付与されてる中が広い箱。それをちまちま仕分ければいいらしい。鑑定さんにお任せします。


「次はこっちの棚なのだけれど、ちょっとした魔道具なんかが入っているわ。触っても問題ない物で用途不明の物が入ってるから、もし気が向いたらこれを鑑定して使用用途などを書いておいて欲しいの。」


それ用の紙とペンも置いておくわね、と左奥の棚に文房具が入った箱が置かれた。危険な物がないなら見るのも楽しそう。


「これは今日の依頼完了分のお金なんだけど、プレートに入れる?持って帰る?」

「プレートにお願いします。あ、アルミラージって1体どのくらいになるんですか?」


「今回はとても綺麗な状態だったので銀貨7枚。角が損傷してたりすると銀貨4枚前後になります。それと、鑑定の仕事のお給料はプレートに自動で入るようになってるから、あとでお渡しする明細書を読んでおいてね。」

「ありがとうございます、お願いします。」


ロレンさんにプレートを渡して入金してもらう。アルミラージ、似てるのにホーンラビの10倍だって。倒せてよかったね。


「この部屋、内側から鍵がかけられるから中にいる時はかけてちょうだい。外から開ける鍵はギルマスとサブマス、私達2人と紅嵐メンバーが持っているわ。基本施錠されてるから、入りたい時は鍵を持ってる誰かに入れてもらってね。」


「わかりました。」


「それと、外にこの札を掛けておくから入ったら変えておいてもらえると助かるわ。こっちが使用中でこっちは何も書いてないから、出たらひっくり返すだけ。大丈夫そう?」


「はい、大丈夫です。」

「それじゃあよろしくね。」


2人が出ていった後、外に使用中の札をかけてからちゃんと鍵をかけた。


〈なんかワクワクするね〉

〈どうした?〉


〈秘密基地がもう1つできた感じ。ポーション作る作業小屋とここ。〉

〈よかったな。〉


机だと届かないところが多いので、ディアのいるラグに座って仕分けすることにした。お喋りしながら作業出来るし、安心感。


〈違う草が混じってるの、魔力草が1番多いかもしれな。やっぱり見分けるの難しいのかな。〉

〈匂いも似てるからな。人間の目だけで判断するのは難しいんだろう。〉


〈ディアは違い分かる?〉

〈本物は魔力に包まれてるから分かる。〉

〈あ、そうなんだ。だから魔力草か。〉


ディアに教えてもらったりしながらせっせと分けていく。単調な作業は好きだし、鑑定さんを常に発動してても疲れる訳じゃないし楽な仕事です。こんなに楽でお給料もらってもいいのかって思えるくらい。


ただ仕分けるだけなのも味気ないので、ある程度まとめて草紐で縛ることにした。状態とか大きさとかでまとめるとスッキリ見えるし楽しい。


雑に千切ったようなのだったり、綺麗に切ってあって状態がいいのだったり、新芽なのか小さすぎるのだったり様々。勉強にもなる。


終わった箱には分かりやすいようにメモを挟んでおく。サリアさんたちが取りに来た時にすぐ分かるほうがいいもんね。


ディアとのんびり作業してたらドアがノックされた。ちょっとびっくりしてたらガイトさんの声がして、鍵が開いた。メンバー全員とユシリスさん、サリアさんが入ってきて、お部屋がにぎやかになった。


「お久しぶりです。疲れてはいませんか?」

「お久しぶりですユシリスさん。楽しくやってますよ。」

「それは良かったです。」


「リンちゃん、これがお仕事の明細書ね。いろいろ手続きが完了して書面にしてあるから、保管しておいてちょうだい。」


サリアさんからくるくると巻かれた紙を受け取った。羊皮紙って言うのかな、分厚くてしっかりしてるやつ。カッコいい。


「片付けで帰るぞー」

「はーい。終わったのはメモを挟んであるので確認してください。」


サリアさんに後はお任せしてお片付け。箱を元の場所に戻したらみんなと帰ります。


「またお話しましょうね。」

「はい。お疲れ様でした。」


ユシリスさんとサリアさんにバイバイしてたらアルダさんに抱き上げられた。


「たまにはいいでしょ。」


だそうです。大人しく抱っこされてお家に帰ります。ディアはいつの間にか小さくなって足元を歩いてるし。


帰ったらお風呂に入って、夜ご飯。今日は森で倒したらしいヒュージボアのステーキ。また食料庫にお肉がいっぱい入ってホクホクのフランクさんは、ノリノリで焼きまくってた。


私も今日の成果を報告。スライムの倒し方は最善策だったみたいで褒められた。アルミラージはみんなでも数回しか見たことがないらしく、驚かれた。どんだけ存在感なかったんだろう私。


歩き回って疲れてたのか、ご飯を食べたらウトウトしてきちゃったからお部屋に戻った。


ディアを抱えてぬくぬくのお布団、気持ちよくおやすみなさい。


リアルなろう系に大満足のリンちゃんなのでした。

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