第73話 なろう系ってやつ

おはようございます、元気いっぱいのリンです。現在森の入口にいます。


森に来ました。今日の目的ホーンラビとスライムは、常に貼られてる常設依頼だから受付をしなくても大丈夫。一昨日は初日だから行ったけど、今日からは持って帰るだけでオッケーなのです。


さっきまで紅嵐のメンバーみんないたんだけど、迷子冒険者を探す依頼が入って森の奥に入っていった。ギルド集合で、一緒に帰る予定。待ってる間は鑑定のお仕事しようかなって思ってる。


〈何を狩るんだ?〉

〈ホーンラビとスライム。復習にホーンラビからいくよ。〉

〈私がいても突っ込んでくる奴らだな。〉


邪魔なら小さくなると言ってくれてたんだけど、そのままでいてほしい。安心する。


近くにホーンラビが3体いるから、それを先に倒す。魔力を少し出したらみんなこっちに向いたので、練習通りナイフで首を切る。遠くにいる3体はこのまま気配を消して近づいて、魔法で切って撃ち抜く。


水場で血抜き作業してて気付いたんだけど、1体ちょっとデカいのがいた。エサいっぱい食べたのかなーなんて思って観察してたら鑑定さん発動。


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名前 アルミラージ

特徴 ホーンラビの上位種、個体数が少ない。

備考 冒険者用の干し肉に使われるが、角は高値で取引される。(希少価値。)

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〈ディア、これアルミラージだって。〉

〈珍しいな。少しでも危険を感じるとすぐに穴に潜るから、滅多にお目にかかれないんだ。〉


〈たまたま出てたのかな?〉

〈リンが気配を消して遠くから狙ったから気付けなかったんだろうな。〉


高く売れるかもしれないので血を綺麗に洗っておく。しばらくして血が出なくなったら袋に入れてカバンに詰め込む。


〈次はスライムなんだけど、何処にいるかわかる?〉

〈その辺にいるぞ。〉

〈えっ?〉


周りをよく見ると水色のぷるぷるがいっぱいいた。こんな近くにいるのに襲ってこないの?


〈あいつらは誰かの食べ残しを食べることが多いんだ。生きてる奴に自分から攻撃はしない。〉

〈でも隠れることも無いんだね。〉


〈リンが獲物を残していくか見てたんだろ。頭が良いのか悪いのか分からん不思議な生き物だ。〉


目が無いから見てるという表現も微妙だ、と苦笑いぎみのディア。確かに目がないからどっちが前かも分からない。


スライムは真ん中にある魔石を壊すか取り出せば倒せる。ただ、壊して小さくなりすぎると使えないから価値がなくなっちゃうらしい。


試しにぷるぷる部分に空気砲を撃ったら、当たった場所が弾けてスライムが一回り小さくなった。ちょっとおもしろかった。


空気砲が当たることが分かったので、的あて大会の開催です!魔石に当てて吹き飛ばそう作戦。


単純にコントロールの練習にもなるし、痛覚があるか分からないけど一瞬で魔石をぬいてあげたいと思ってしまう。


5回やってクリーンヒットは2回。でもちゃんと5個全部回収できた。


繰り返しずっとスライムを撃ってて思った。

私いま、リアルなろう系だ。異世界に送られて冒険者になって最初はスライムから狩ってレベル上げるみたいな。小説で読んでた流れをそのまま自分がやってて、ちょっと笑った。


的あてしながら中級薬草とドクダミを見つけたよ。中級薬草は低木の足元にしか生えないのかな?いろんな雑草に紛れて生えてたから、鑑定が無かったら見つけられなかったと思う。


ドクダミは水辺に生えるみたいで、川の近くにいっぱいあった。似てる草もあったけどこれも鑑定さんの活躍で無事に収穫。どっちも少量根っこから収穫したから、帰ったら畑に植えて栽培します。


お昼ご飯を食べたらまたスライムを倒して、なんとか30個手に入れた。これで十分じゃないかな?


〈ディアー戻ろう〉

〈満足したか?〉

〈うん!〉


お喋りしながら戻りつつ、門に着く手前で小さくなるディア。門番さんにプレートを見せたら街に入り、そのままギルドに向かう。


カウンターにロレンさんを見つけたから、納品の処理をお願いしつつお仕事することを伝えた。全部部屋でやっちゃおうというとこで、借りてるお部屋に入る。お部屋に入るとでっかくなるディア。なんかサイズ変えるの早くなってる気がするけど、気のせいでしょうか?


「納品物あずかるから、ここに全部出してもらっても良い?」

「はーい。いっぱいあってもいいですか?」


「いいよ、この箱ヒュージボア1体くらいは入るくらい中は広いから。」

「すごーい。ロレンさんたちが作ったんですか?」


「2人でね。鑑定品持ってくるからちょっと待っててね。」


ホーンラビとアルミラージ、スライムの魔石と薬草類を全部納品した。


スルーしかけたけど、なぜかディアがゆっくりできる大きめのラグとブランケット、セットなのかクッションまで準備されてる。どれもクリーム色で可愛い。当たり前のようにディアがそこで伸びてたから反応遅れた。


〈どうした?〉

〈どこでもディアと一緒に座れるね。〉


ロレンさんが来るまでディアのお腹をもふもふ堪能するリンちゃんなのでした。


ちなみに、このラグやブランケットを準備したのはサブマスのユシリスさん。メンバーからリンがよくディアとラグで座ってると聞いて買ってくれていたのです。


のちにそれを知ったリンがお礼のクッキーとスコーンを渡し、とっても喜ばれるのでした。



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