第34話 午後もがんばる

ラストスパートの前に休憩。


ナリアルさんのところに行って、お水をもらって汗を拭く。集中してると気付かないんだけど、魔法って疲れるのね。気付いたら汗だく。


「順調ですか?」

「かなりペースが早いけどいい感じ。」

2人でいろいろお話中。


「クリーンってすぐに使えますか?」

生活魔法なら魔力少なくて良いって教えてもらったから、休憩がてら練習してみたい。


「使えると思うけど、疲れてないの?大丈夫?」

アルダさんはちょっと心配そう。ナイフもあるから大丈夫だと言うと、それなら、と教えてくれる。


「生活魔法は言葉にするんだ。綺麗にするならクリーン、明かりを灯すならトーチ、あとは空気を通すウィンドに、水を出すウォータとかね。」

トーチで薪に火を付けられるらしい。


「あとはイメージして発動させるだけ。」

こんな風に、とそれぞれやって見せてくれた。


アルダさんが終わると、ナリアルさんもひと通りやってくれた。手を動かずタイミングも威力もほとんど一緒だった。


違ったのはウィンドとウォータ。ナリアルさんは水との相性が良くて、アルダさんは風との相性がいいから威力があがってしまうらしい。


「リンちゃんはどっちも相性がいいはずだから、気をつけてね。」


まずはクリーンかけてみる。頭からフワッと覆うようにイメージしたら、温かい風に包まれる感覚がした。成功してるのかよくわからず、アルダさんにかける。


「クリーン、成功してますか?」

「ちゃっとできてるよ、ありがとう。リンちゃんのクリーンは温かいんだね。」


クリーンが温かいのは違うの?ナリアルさんにもかけてみると、やっぱい温かいと言われた。


「これが私の使うクリーンです。」

今度はナリアルさんがかけてくれた。ちょっと冷たい風が吹いた感じがする。


「今度は僕のクリーンね。」

アルダさんもかけてくれる。爽やかな風が通った感じ。


「全然ちがう。ナリアルさんは夜風って感じで、アルダさんは森の中の風でした。」

そんな感想を言うと納得してくれた。


魔力にも人それぞれ特徴があって、適性によっては似ることもあるけど基本はバラバラなんだそうだ。


次はトーチ。指先にポッと火を灯す魔法。ナイフのおかげか言葉のおかげか、スムーズにだせた。問題はウィンドとウォータ。気をつけて発動させる。


風が下を通り過ぎるイメージでウィンドと唱えると、強めの風がふいた。暴風にならなくてよかった。


「さすがに相性がいいと強めに出ますね。制御は難しいですか?」

「大丈夫そうです。もう1回やってみます。」


そよ風をイメージしてウィンド、今度は草が揺れる程度になった。成功?


「さらっと成功しましたね。鬼門きもんはウォータですか。」

怖いこと言わないで下さい、ナリアルさん。


空のコップを手で持ち、水で満たすイメージをしつつ、出力は抑えめで上に手を広げる。

ウォータ、と唱えた瞬間コップのフチのギリギリまで水が入った。ギリギリセーフ!


「おー、こぼさず出せましたか、さすがですね。」

ほめてもらったけどまだ多い。もう1回。


2回目だからスムーズに成功。コップの7割くらいのお水が出せた。


「ワンドなしで使えるように練習中しようね。」

頭をなでてくれるアルダさん。補助なしで使えたら便利だもん、がんばります。


「土魔法、やってきていいですか?」

「いいよ、僕たちはここにいるから行っておいで。2回だけだからね。」


はい、と頷いて走ってすみっこに行く。


そこから約束通り2回、土をボコッとさせては戻し、出しては戻した。最初は1メートルくらい。2回目で30センチくらいの高さにできた。


コツを掴めた気がする。手に魔力を集めるのがスムーズだし弱くも出来るようになった。


2人のところに戻ったら、もう夕方だから家に入ろうと言われた。そう言えば手元が暗い。


「よくがんばったね。先にお風呂入っておいで。」


お家に入るとフランクさんがお出迎えしてくれた。お湯を入れてくれたみたい。汗もいっぱいかいたから、お言葉に甘えて先に入る。


サッパリしてリビングに行くと全員集合していた。


「おかえりー、ご飯食べよ。」

カルダさんがルンルンと席につく。


いただきますをして食べ始め、今日あったことを報告。水が大暴走したのはみんな知ってて、ちょっと笑われた。生活魔法や他の魔法も使えるようになったことも伝えた。


ガイトさんたちはディアの魔法で壁を攻撃して、結界を補強。それを繰り返して満足したら打ち合いをして、ディアも参戦して勝負をしたらしい。


結果はディアの圧勝。すごいよね。


ゆっくりご飯を食べたら眠くなってしまったので、話もそこそこにお部屋に戻った。

まだ8時前。ディアはもう少しリビングでゆっくりしてお部屋に来てくれるそうだ。


いっぱい集中した疲れが一気にきて、お布団に入ってすぐに眠ってしまったリン。


ゆっくりお休み。

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