第4話『忍者VTuber、始めます』
第4話その1
7月も残すは2日程度、そんな状況で
動画に映し出されていたのは
その後、動画の実物を母に見せた結果、やはりというかあるゲーム作品に登場する忍者であることが判明した。
しかし、一方で母は「確かにそっくりではあるが、丸ごとコピペというには細部が異なっている」とも言っている。
一体、青凪の正体とは何なのか? 彼の目的とは……?
ツバキは自室で次の配信ゲームをどうしようか悩んでいたのだが、そこで例のダンジョン動画を探すことに。
しかし、あのダンジョンを扱ったゲームを見つけ出すことは出来なかった。
ゲームではなく、雑談動画にも視野を広げているものの、発見には至っていない。
「ゲームでダンジョンを扱う作品は多いが、ピンポイントであのダンジョンは見つからない」
いくつかの動画サイトなどを探すも、該当するダンジョンゲームは発見できない状態は続く。
確かに同じダンジョンを扱う動画は増えているし、ここ最近のランキングでも目撃度合いが多い。
しかし、それがゲームなのか違う何かなのか……特定できないことにはダンジョンへは行けないのは確実だ。
「やはりあのダンジョンは……」
ふとした所で、ツバキは再び忍者構文と思わしきものを発見する。
『忍者とはありとあらゆる炎上を阻止するために存在する、対電脳の刀。忍者とは悪意ある闇の全てを斬る存在でなければならない。彼らが斬るのはあくまでも悪意ある炎上であり、それ以外のものを切り捨ててはならない』
『電脳空間にあるダンジョンと呼ばれる場所。4つのエリアにある封印された開かずの扉、その先に隠された何かがある』
『そのダンジョンはダンジョン
ツバキが発見した構文、そこにはダンジョン神と呼ばれる存在が管理するダンジョンがある、という記述があった。
しかし、名前が分かってもどうやって行けばいいのか……悩む個所がある。
そもそも一般にも開放されているのか、招待制なのか……それもわからないのだ。
忍者構文は時にフェイクも混ざっており、これを丸ごと引用して炎上したまとめサイトが閉鎖に追い込まれたり、ガーディアンの襲撃でサイト管理人が逮捕されたケースもある。
果たして、この忍者構文は事実なのか?
「ワードを調べてみるか」
検索サイトで試しに『ダンジョン神』とツバキは入力し、その関連記事の多さに驚くしかなかった。
まさか、ここ数日で増えているダンジョン配信の正体が、このダンジョン神のダンジョンを扱っていたものだったとは。
「これだけ記事が多いのか……」
記事が多くても、一部はまとめサイトによる釣り記事、もしくはフェイクニュースが多い。
ダンジョン神のダンジョンは実在するのに、フェイクニュースでだます目的があるだろうのか?
一方で、アフィリエイト目的で個人でもダンジョン神のダンジョンの名前を使い、他のダンジョンをアピールする動画も確認された。
そのほとんどは、迷惑動画配信者であることが多く、通報されてアカウント凍結、もしくはアカウント削除となるケースが多い。
実際、検索内容の中には「ダンジョン神のダンジョンの名前を利用した迷惑配信者、炎上の後にアカウント削除」のようなものも発見されている。
こうした迷惑配信者の動きは、ダンジョン神のダンジョンでも健在なのだろうか?
そんな中、ある人物からメールが届く。
いわゆるスパムメールであればすぐに削除と思ったツバキだったが、その内容は、まさかの物だった。
【君の探しているダンジョンを知っている】
差出人は知り合いの配信者で、スパム特有のメールアドレス偽装のようなものではなかったため、このメールを信用することにする。
彼は、何故ダンジョン神のダンジョンを調べ始めたことを知っていたのだろうか?
トークの方で名前こそ出していなかったが、それっぽいダンジョンの話はしたことがある位だが……。
その一方で、ダンジョン神のダンジョンに興味を持つ人物が、もう一人。
過去に別のダンジョン配信を行っていた配信者だが、ここ最近は
服装はカジュアルブランド系の服であり、あまり露出をするようなものを着ていない。髪型はロングヘア―だが、前髪がメカクレよろしく、少し隠れているのが特徴か。
ダンジョン神のダンジョンに関しては名前だけは聞くが、場所自体は特定しておらず、情報提供募集中とSNS上で広く情報を求めている最中か。
そんな彼女は配信用のパソコンデスクで、あるものを組み立てていた。パソコンに関しては、配信をしていないので現在は電源をオフにしているのだが……。
彼女が組み立てていたもの、それはいわゆるロボット物のプラモデルで、彼女はプラモデル配信も並行して行っている。
プラモバトルの動画もアップしているので、その辺りでも有名という事かもしれない。
しかし、製作した忍者ロボをダンジョンで動かせないものか……と考えている部分があった。
(情報は、いまだにゼロか)
あれだけSNS上で『バズり』をしているダンジョンであれば、情報があってもおかしくはない。
それなのに、自分のもとに情報が来ないのは何かおかしい、とも彼女は考える。
忍者構文を調べれば早いとは思いつつも、フェイクニュースなども混ざっているので信用できるソースかと言われると疑問があるだろう。
(これって……)
ため息交じりにスマホをチェックするのだが、今日も大きな情報はない……と思った、その時だった。
彼女は、ある情報をSNSで発見、ソースも信用できるという事で、その記事をクリックすると……。
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