配信回6-1
「みんなこんばんは!アリスだよ」
「みなさんこんばんは。レナです」
「こんばんは。ナツキです」
「今日の配信はなんと!天獄杯直前・特別配信だよ!」
《うおおおおお!!…ん?》
《待ってましたぁぁああ!!!…ん?》
《天獄杯頑張って!!…ん?》
《天獄杯は明日からなのに配信していて大丈夫なの?》
「今更ジタバタしても始まらないからね。夜更かししなきゃ大丈夫だよ」
「賽は既に投げられている」
《なんという余裕。これは相当自信があるとみた》
《そりゃ自信あるでしょ。面子が面子だし》
「実際はやってみないと分からないけど、PT戦は優勝目指して頑張るよ!」
「優勝したらご褒美がある。負けるわけにはいかない」
「ここで無様な戦いは見せられませんので、全力で勝ちに行きたいと思っています」
《ご褒美!?》
《ナツキちゃんから俺らにご褒美があるってこと!?》
《お前らはそのポジティブシンキングを実生活に活かせよ》
《アリスちゃんもレナちゃんも凄くやる気だね。今までの感じから勝ち負けにこだわってるようには見えなかったけど》
《実際に天獄郷に行って感じるものでもあったんじゃない?》
「勝っても負けても楽しかったら良いなとは思ってたんだけどね。ちょっと事情が変わったから本気で優勝目指すよ」
「勝ったられーくんからご褒美が貰える」
《なんだと!?》
《万魔央からのご褒美だと…?》
《アリスちゃん達がやる気出すようなご褒美か》
《野郎からご褒美貰っても嬉しくないから想像がつかんな》
《黒巫女さん達に囲まれて一緒に食事とか》
《黒巫女さんと1対多で合コンだと!?お持ち帰りもOKなんだろうな!!》
《それでやる気出すのは俺らじゃん》
「ご褒美の内容は…秘密だよ。優勝できなかったらみんなガッカリしちゃうと思うし」
「その方が良いでしょうね。変に期待を持たせるのも悪いですし」
《みんなガッカリ?という事はアリスちゃん達だけのご褒美というわけではないと》
《そして聞いたら期待をしてしまう内容ね》
《やはり合コンなのでは?》
「ご褒美の内容は優勝したら発表したいと思います!」
「天獄杯への意気込みはこのくらいにして、本日の本題に入りましょう」
「そうだね。私とナッちゃんは天獄郷に初めて来たんだけど、とっても凄い所だよね」
「まだお土産屋さんくらいしか見てないけど面白い物がたくさんあった」
《土産物屋か。確かに天獄郷の土産物ってクオリティめっちゃ高いよな》
《特に万魔様関連の物はやばいな。量産品とは思えないクオリティを誇ってる》
《万魔様人形はまじで可愛いよな。俺持ってるぞ》
《あれは天獄郷に行った際のマストアイテムだからな。買わない選択肢はない》
《玄関に飾っておくだけで押し売りや訪問販売の連中は大人しく引き下がり、万生教信者からの好感度がアップする魔法のアイテムだぞ》
《魔除けかな?》
「天獄郷を散策するのは天獄杯が終わってからになりそうですね。れーくんも開催期間中は外出は控えるみたいですし」
《やっぱ来てるのか万魔央》
《アリスちゃんが来てるんだから居るだろうなとは思ってた》
《ワンチャン出場してたら面白いと思ってたんだけど選手リストに名前載ってなかったからな》
《謎の仮面Xみたいな感じで出場してたら面白かったんだが》
「そう。天獄郷といえば最強仮面様の聖地でもある」
《仮面というワードだけで最強仮面を引っ張り出さないでくれるか》
《聖地?被災地の間違いでは》
《そもそもワンダラーと天獄郷にしか出現してないから聖地以前の問題では》
《最近全く姿見せないしな。どこで何してるんだろうな》
「そしてわたしたちは今、最強仮面様の足跡を辿ってこの場にいる」
《ん?》
《足跡を辿るってどういうこと?》
《最強仮面が天獄郷で行った場所って天獄殿しか…》
「そんなわけで、私たちは今天獄殿でお泊りしていまーす!」
《なるほど。天獄郷にホテル天獄殿ってあったっけ?》
《何言ってんだよ。天獄郷に天獄殿なんて一つしか存在しないだろ》
《お前こそ何言ってんだよ。天獄殿はホテルじゃねえんだぞ。泊まれるわけねえだろ》
《もしかして、錯覚じゃないのか?俺だけに言える幻覚だと思ってたんだが》
「本来は宿泊する事などありえませんが、今回は万魔様と万生教の方々の好意により、特別に滞在させて頂いています」
「黙ってても問題ないと思ったんだけど、夏休み中は天獄郷に滞在予定だから、はっきりさせといた方がいいかなって思ったので報告しておくね」
《成程。だから有志で手分けして探しても見つからなかったわけか》
《え、なにそれ普通に怖い》
《これがストーカーってやつか。まあこのちゃんねるの男は全員誰かのストーカーだと思うけどな》
《俺は違うから。俺は見守ってるだけだし》
《赤の他人が特定人物を見守る、それを世間ではそれをストーカーと言うんだよワトソン君》
《駅で目撃情報上がってたんだから天獄郷にいたら探すだろ。誰だってそうする。俺だってそうする》
《アリスちゃん達を見つけられたらハッピー、仮に公序良俗に反してもストーカーを捕まえるのは黒巫女さんだからハッピー。どう転んでも可愛い子に会える死角のない完璧なプランと言えるだろう》
「というわけで、この配信は天獄殿で絶賛生配信中でーす!そして今回はなんと!あっと驚くスペシャルゲストを招待してます!」
「うむ。皆の者、はじめましてじゃな。儂が万魔じゃ。今日はよろしく頼むぞ」
《今日はいい天気だなー》
《そうだな。大きな星がついたり消えたりしてるぜ。はは、彗星かな?》
《最近仕事のしすぎて疲れてるのかな。人形が喋ったように見えたんだけど》
《おかしいな。俺の家にある万魔様人形は動いたり喋ったりしないよ?》
「あれ?みんなの反応がおかしいね、どうしたのかな」
「ふむ。儂の事を知らんのかもしれんの。無理もあるまい。天獄郷にずっとおるからの。あれなちゃんねるは全国で有名なんじゃろ?誰じゃこのぽっとではと思っとるのかもしれんの」
「北条との決闘の時に顔出ししてたし、実況もしてたんだから知らない人はいないんじゃないかな?」
「万魔様の事を知らない人なんているわけがない。知っててみんなこの反応をしている。つまりみんな万魔様の事を、ただのけもっ娘だと思ってる」
《わけないでしょおおおお!!!!!》
《うわぁぁぁああああああああああ!!》
《あ…あばあばばばふぁふぁvくヴぁvくぁふぁfwq》
《ふぇwgdrmんgmsdkjpgdz;f》
《ほ、ほ、ほ…本物だぁぁああああああああああああああ!!??》
《勘弁してください蔑ろにしているわけじゃなかったんです目の錯覚だと思ってたんです悪気はなかったんです後生ですから命だけはお助け下さい》
《なんで?なんでいるの?実物大リアル万魔様人形じゃなかったの?》
《いやいやいやおかしいでしょ。なんで万魔様がいるの?というかなんで炬燵にアリスちゃんたちと一緒に入ってる上に膝の上に座って煎餅食べてるの?》
《配信始まってからアリスちゃん達もリスナーも誰も触れなかったから、俺は幻覚見てるとばかり思ってたんだが?》
《全員幻覚であってくれと願って触れてなかっただけだろう》
「なぜ万魔様がここにいるかですが、万魔様も私たちの配信を見て下さっていたようで、アリスが出てみますかと尋ねたら、万魔様が二つ返事で了承されたからです」
《万魔様がみてる?なにを?》
《俺たちのコメントを万魔様が読んでいただと…!?》
《あれ?俺は今までどんなレスしてたんだっけ…思い出したくないぞ》
《悲報・アレナちゃんねるのリスナー、万魔様の目を汚す。粛清待ったなし》
《おいやめろ冗談じゃないぞ!冤罪にも程がある!俺は一度も万魔様ペロペロとか頭撫でたいとか書き込んだ事ないから!!》
《はいギルティ。一名様冥土へ御案内》
《は…謀ったな貴様ァァアアアア!!》
「アレナちゃんねるの初めてのゲストは万魔様。今から万魔様に色々聞いていきたいと思う」
「答えられることなら答えてやるぞ」
「というわけなので、万魔様に聞いてみたい質問を募集するよ!独断と偏見で私たちが万魔様に質問しちゃいます!」
《万魔様に質問出来るだと…!?》
《な…何を聞くべきなんだ!?尻尾の触り心地?それとも他にけもっ娘がいるかとかか?》
《なお信頼と安全の独断と偏見の質問コーナーにつき、まともな問答にはならないことは確定的に明らか》
《お前ら、この配信は万生教が監視しているはずだから気を付けろよ》
《出たよ万生教陰謀論、配信は見てるだろうけどコメントしたくらいで特定できるわけねえだろ》
《随分強気ですね田中さん。今からあなたの住所に大量のピザとお寿司を出前するので喜んで食べて下さいね》
《ヒェッッ!!!!》
《金〇がヒュン!!ってなった。喧嘩を売ってはいけない相手というのは確かに存在する。万魔様、万魔央、万生教…》
《それ全部万魔様が関係しているんですがそれは》
《は?俺田中じゃねえからwww》
《ただ質問するだけの筈が、なぜここまで荒れるのか》
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