第26話 衝突!

そんな中レムロは不眠でヒルマ村に

進んでいました。


レムロの中ではベルを何としてでも

奪うことが最重要な目的です。


ジュリアとニールが休んだ場所に

3時間後に着きました。

つまり3時間ほど追いついたわけです。


ここから 山道になるという直前に

不自然に地面に散らばったラルフの葉が

数枚落ちていました。


レムロはその葉を拾い上げます。


レムロは十中八九 ジュリアが

使ったものだろうと推測しました。


まだ なんとなく葉が湿っている。


まだ使い終えたばかりなのがわかると

俄然 気持ちが入ったのでした。


レムロ

「皆のもの!

 追うべき人間は つい先ほどまで

 ここにいたようだ。

 だいぶ距離は縮まった。

 さらに追いかけるぞ!!」


衛士達

「おおう!!!」


レムロ達は休みも入れず2人を追いかけ

ヒルマ村に向かいました。


翌朝 ジュリアとニールはヒルマ村まで

あと1時間というところまで迫っていました


空は雲に覆われ

今にも雨が降り出しそうな空です。


ジュリアとニールの体力も限界に近かったが

ヒルマ村を助けたい一心で

歩みを止めませんでした。


そしてレムロも不眠不休でこのヒルマ村を

目指していました。


さすがの衛士たちも

疲れの表情は見せていましたが


「この仕事を終えれば

 お前たちは皆 出世できる」


とレムロが鼓舞させて

ここまで来たのでした。


一足先に着いたのは

ジュリア、ニールでした。

ジュリア まず 村長の家に向かいます。


ジュリア

「ラウムさん!ジュリアです!!」


ジュリアが 道中の疲れをものともせず

ラウムの家の前で呼びかけます。

そして ラウムが玄関を開けました。


ラウム

「ん?どうしたんじゃ?

 お前さんは確か、この前、

 村の近くで倒れていた・・・」


ジュリア

「ジュリアです。村長さん、大変です。

 レムロがこの村を・・・」


ジュリア 焦って

うまく言葉にできませんでした。


ニール

「ジュリアさん 。落ち着いて」


ラウム

「そうじゃ とにかく落ち着いて。

 ところで貴方は」


ニール

「お初にお目にかかります。

 私ノルウェアで道具屋を営んでおります

 ニールと申します」


ラウム

「!!ニールさん。

 村の者からお話は伺っています。

 いつも私たちの工芸品を

 買い取ってくださって

 ありがとうございます」


ニール

「いえいえ こちらこそ。

 ただ今日 こちらにお伺いしたのは

 工芸品のことではなく・・」


ジュリア

「村長さん。 レムロがこの村を

 襲いに来るの!」


ラウム

「なんじゃと?レムロが来るのか!」


ニール

「はい。

 私たちは昨日の未明にノルウェアを

 出発して ここに到着しました。

 村への襲撃の出発時刻は昨日の予定なので

 少なくともレムロも今日中には

 この村に到着します」


ラウム

「そうじゃったのか。

 とにかく村のものに知らせて

 対策を講じなければ」


ヒルマ村のそれぞれの家の主人と

アナスタシア、リュート、アトラス が

村長の家に集まりました。


ラウム

「今、ノルウェアから

 ジュリア殿とニール殿が

 この村の危機を知らせてくれた。

 あのレムロがこの村を

 襲撃するつもりらしい。

 レムロの目的は アナスタシアが

 持っているベルじゃ」


シバ

「村長 、どうしましょう」


ラウム

「もちろん アナもベルも守る。

 しかし 我らはあくまで守るじゃ。

 いくらベルがあっても

 相手を殺すのではない。

 そこで一人しか出ないように

 皆が一つに集まれる、村の泉まで

 避難させる。

 そして泉の入り口で男衆が待機し

 レムロを迎える。

 相手が攻めてきたら追い返す。

 生け捕りにできれば理想じゃ」


ヒルマ村は 渓谷にある村だったので

逃げ場がありませんでした。


泉は渓谷の最も奥にある場所で

いわば背水の陣のように

後がない状況でもありました。


しかしアナスタシアのベルが村人を

安心させ力になっていたことは確かでした。


ただそれはレムロ達も同じで

ベルさえあれば、という考えが

レムロや衛士たちを

強気にさせていたのでした。


ジュリアとニールのヒルマ村に

到着してから1時間後。

村人たちは皆、

ヒルマ村の泉に集まっていました。


そして空から雨がポツポツ

降り出してきました。


子供達や女性は一番奥に身を寄せ合って

男たちは泉の入り口でレムロを迎えます。


すると 30分ぐらいした後

泉にレムロたちが姿を現しました。


驚異的なスピードでヒルマ村まで

やってきたのです。

そして泉にいる村人たちをレムロは見つけ

衛士達と泉に向かってきました。


そして15メートルほどの距離まで

近寄った時・・・


レムロ

「よし、皆の者、一時止まれ」


レムロが兵士たちに呼びかけました。

100名ほどの衛士達が一斉に足を止めます。


レムロ

「ヒルマ村の民よ。

 私の命を狙う不届き者がいるとのことで  

 ノルウェアの繁栄を脅かす種になる

 故に今より村人全員を処刑する!」


ラウム

「私たちは別に誰の命も狙っておらん

 帰ってくれ」


レムロ

「黙れ!

 ノルウェアの民を脅かすヒルマ人め!

 今、ここに、正義の鉄槌を受けたまえ!」


シバ

「来るぞ!」


ニール

「皆さん 絶対に負けないように

 戦いましょう」


リュート

「ヒルマ人の名にかけて!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る