第13話 覗く影
レムロがジュリアを殺害して30分後
ヒルマ村の売人 シバが通りかかりました。
そして倒れている ジュリアを見つけました
シバ
「ん?人が倒れている!!」
シバはジュリアの元に駆け寄り
呼吸や脈を確認しました。
呼吸はありません。
しかし亡くなってから間もないのは
分かりました。
シバは村に近いこともあり
ジュリアを自分が引いてた車に乗せて
ヒルマ村に連れて帰りました。
それを見ていたレムロもシバの後を
そっと 尾行します。
シバはまず真っ先に 村長の家に
向かいました。
シバ
「村長!!」
ラウム
「シバか、戻ったのか。
どうした そんな血相を変えて」
シバ
「人が、女性が村の近くで倒れていて」
ラウム
「なに?」
ラウムとシバは表に止めてあった
シバのリアカーに乗っている
ジュリアの元に駆け寄りました。
ラウム
「どなたじゃ、 この女性は」
シバ
「分かりません
しかし息がないのは私が見つけた時に
確認しました」
そこへ 現れた アナスタシア
アナスタシア
「シバさん、村長、何してるんですか?」
ラウム
「実はシバがこの女性を
村の近くで見つけたのじゃが」
アナスタシアがジュリアを見ます。
アナスタシア
「!!この方・・・亡くなってるんですか」
シバ
「自分が見つけた時にはもう・・・」
ラウム
「アナよ、今までお前のベルは
我々の村人を何度も救ってくれた。
ただ今までは村の中で済んでいた事。
その力が安易に外界に知れ渡ることの
恐ろしさを説いたのは紛れもない私だ。
しかし今、この目の前の女性が
どのような経緯でこの村のそばで倒れ
どんな人格かわからんが、
わからぬから放っておくというのも
慈悲深いヒルマの民として続いてきた
この村の村長としては心苦しい。
アナよ ベルで この女性を
救ってはくれぬか?」
アナスタシア
「村長 。おっしゃる通りです 。
本来このベルも哀れに思う
苦しんでいる方々を救うため
というものであると私も思います。
シバさん。 この方を私の家に
連れてっていただけますか?」
シバ
「ああ、 分かった」
3人は急いで アナスタシアの家に
向かいました。
家には 子供 アトラスの相手をしていた
リュートがいました。
アナスタシアが玄関を開けます。
リュート
「おかえり」
リュートが明るく出迎えます。
アナスタシア
「ただいま、 ねぇ、
あのベルを持ってきて」
アナスタシアが真剣な眼差しで
リュートに言いました。
リュートはすぐに状況を察して返します
リュート
「誰か 怪我したのかい?」
ラウム
「リュート 忙しいところ すまないね」
リュート
「村長。そしてシバさんも」
アトラス
「おじちゃんたち。こんにちは」
ラウムとシバは アトラス を見て
微笑み返しました。
ラウム
「実は女性が1人
村の近くで倒れておったのじゃ」
アナスタシア
「この村の人ではないけれど
その方を助けたいの」
シバがジュリアを中に運び込み
家の中で寝かせられました
リュート
「村長・・・」
リュートは以前
村長に言われたベルのことを
気にしていました
ラウム
「リュート。お前の考えてることや心配も
確かに分かる 。
そもそも私がベルの存在を世間に
知られないよう皆に言ったのだからな。
しかし救える命がありながら救わないのも
それはそれでおかしな話じゃ」
リュート
「分かりました」
リュートは心配を振り払い
ベルを持ってきました。
リュートはアナスタシアにベルを渡します。アトラスもこのベルの力を見るのは
初めてでした。
皆がジュリアの周りを囲いそして
アナスタシアが心を落ち着かせます。
皆の意識がジュリアに向かいました。
それをこっそり窓から覗く一人の男。
レムロだ。
レムロは辺りを注視しながら
アナスタシア達の様子を伺っていました。
アナスタシアがゆっくりベルを一振りする。 静かにベルの音が響き こだまする。
そのこだました 音色がジュリアを
包み込んでいった。
すると・・・・
ジュリア
「んん、ん」
皆の顔色が明るくなりました。
アナスタシア
「良かった・・・」
安堵する アナスタシア。
ジュリアがゆっくり 目を開けて
辺りを見回しました。
ジュリア
「ここは・・・」
シバ
「気づいたみたいだ」
ジュリアは体をゆっくり起こし
周りの状況を理解しようとしました
ラウム
「お前さんはこの村の近くで
倒れておったんじゃ」
ジュリア
「あ、あの、ありがとうございました」
アナスタシア
「体はどう?痛くない?」
ジュリア
「いえ、なんだか体は軽いです。
それに生まれ変わったみたいに
なんだか清々しいです」
皆は喜び お互いの挨拶を済ませました。
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