第12話 銀行家の娘ジュリア
レムロはまず月に2度ヒルマ村から
ノルウェアに来る物売りに目をつけました。
ヒルマ村の工芸品は質が良くて
人気が高い事で知られていました。
その為かヒルマ村の工芸品を
取り扱ってる店に行けば
ヒルマ村から、いつ売人は来るかは
簡単に知ることができました。
そして次に病院に向かいました。
その病院の入院患者の中に不治の病と
申告された資産家の令嬢が
入院しているのを知ります。
その資産家はウィルといい
銀行の頭取をしていました。
そして令嬢は、ジュリアと言いました。
ジュリアは生まれつき体が弱く
入退院を繰り返していた女の子でした。
そして不治の病ペリアトル病と
申告されたのです。
ペリアトル病は進行性のウイルス性の病気で子供が罹ると成人まで生きられるか
分からない不治の病でした。
進行すると腕や足に発疹が現れて
末期になると体全体に発疹ができます。
ジュリアも、もって数ヶ月という
診断が出ていたのです。
レムロはそんなジュリアの父ウィルに会い
こう言いました。
「娘さんの病気を治す術がある」、と。
ウィルはレムロの話に食いつき
さらに レムロがこう言います。
「娘さんを数日、貸してほしい。
されば病気を治し、お返しする」、と。
ウィルは最初、レムロを怪しいと
思いながらも大切な一人娘が助かるならと レムロにジュリアを託すことにしました。
ウィルはジュリアに当然、家の人間を
お供につけると言いましたが
レムロはもともと人を騙すのが
上手い人間だったので、
ウィルもついレムロの口車に乗せられて
他にお供をつけずレムロにジュリアを
単身で預けてしまいました。
そして無事ジュリアの病気が治ったら
莫大な報酬を与えることも約束しました。
レムロはヒルマ村から売人が来る日を
確認した後、ジュリアと共にヒルマ村に
向かいました。
レムロは自分が ヒルマ村の人間から
怪しまれているのはわかっていたので
ジュリアをヒルマ村に入る直前で
置いておき、ジュリアを帰りがけの
ヒルマの売人が見つけ、
助けるのを狙っていたのです。
ジュリアは体が弱く、しんどそうに
道中を歩きます。
レムロは口では
「頑張ってください」
と言いながらも
死人が生き返ることが事実なら
どこで倒れようが同じでは、と思いながら
淡々と ジュリアに声をかけました。
ヒルマ村に着く直前、
ジュリアはもう歩けなくなりました。
レムロはジュリアに
「ちょっとここで一休みしましょう」
と言い、休憩をとることにしました。
ジュリアは道端で疲れた表情をしながら
木にもたれかかり、休み始めます。
するとレムロはジュリアに
「ちょっと用を足してきます」
と言い 、その場を離れました。
ジュリアは相変わらず
ぐったりして休んでいます。
少ししてからレムロがジュリアの背後に
そっと近寄ってきます。
ジュリアは少し眠っているようでした。
そして次の瞬間!
レムロは背後からジュリアの口を塞ぎ
そして毒針を刺しました。
反射的にジュリアが、少しもがきますが
そもそも病人であり長旅で疲れている
ジュリアはそこまで力はありませんでした。
いくらかしてジュリアは
意識がなくなってしまいました。
ジュリアが息をしていないのを確認した
レムロはジュリアをその場に置き去りにしてヒルマ村の売人がやってくるのを
近くの林の中に身を潜め待つのでした。
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