第11話 ノルウェアの酒場にて
ノルウェアはこの近辺では
かなり大きな都市でした。
地方都市の中で代表される街とも言える
ところで様々な品物、人種、情報が
集まります。
ここは王政政治をしているが
王政になって 歴史は浅く
現在の王はまだ幼くて 摂政バロウが
この街を納めています。
街は資本主義社会で税金もそれなりに
高いのですが、物は溢れ
人々が物質的にでも豊かになろうと
地方の小さな町や村からこの
ノルウェアに人が集まるのでした。
レムロは1人ノルウェアのバーで
酒を飲みながらヒルマ村で見た
リュートについて考えていました。
死んだはずの人間が生き返ることが
実際あるのかと。
そんな時、近くで飲んでいた
男女4人組の話が聞こえてきたのです。
女A
「久しぶりに帰ってきたけど ここは昔から変わらんね〜」
男A
「何年ぶりに帰ってきたんだ?」
女A
「うーん、5年ぶり かな」
男B
「5年も離れていたのか」
聞けば女性が久しぶりにこのノルウェアに
帰ってきたのを地元の幼馴染が
歓迎して飲み会をしているようでした。
さらに聞いていると
男A
「確か 看護師してたんだっけ」
女A
「そうよ。 ただ 看護師の仕事も楽しかったけど 劇場も割と近くにあってよく観に行ったわ」
女B
「いいなあ。 劇場って何やるの?」
女A
「歌や踊り お芝居 なんかするけど
私は、お芝居をよく観に行ってたな」
男A
「ノルウェアには 劇場 なんてないからね」
さらに話は劇場の芝居の話に
女A
「私の好きな芝居に"ピューレ"
というのがあってね
王子様とお姫様が駆け落ちするんだけど
2人が追手に追われて
逃げるシーンがあるの。
それを助ける 魔法使いのおじいさんが
いるんだけど舞台のど真ん中で
魔法使いのおじいさんが
2人をワープさせちゃうの」
男B
「すごい展開だな」
女A
「すごいのは展開以上に 実際
舞台の真ん中で 2人が消えちゃうのよ。
本当に」
女B
「えー ウソ〜」
男A
「どういうことよ」
女A
「おじいさんがワープの呪文を唱えると
煙が少し出て2人を包んで。
その煙が消えるともう
2人の姿も跡形もないのよ」
男B
「煙が出ているうちに 舞台の袖に
慌てて引っ込んだんじゃないのか?」
女A
「残念でした。
答えは 舞台の真ん中に奈落があって
2人がそこに入ることで
消えてしまうように見えるわけ」
女B
「奈落?」
女A
「つまり地下室よ 。
舞台の床の下は空洞になっていて
隠れることができるの」
女B
「なんだ、 つまんない」
男A
「ハハハッ、怪奇現象ではなかったな」
女B
「もっと 説明つかない
不思議な話かと期待したのに」
女A
「ふふふ ・・・あ、そういえば
こんな話があったっけ」
女性が何かを思い出し
ちょっとトーンを落として話し始めた。
女A
「あのね私が看護師になりたての時
夜勤をしてて、ある男性が重症で
担ぎ込まれたの。
その男性はすでに息を引き取っていてね
身元はすぐ分かったんだけど
身内がいなくて、結局そのまま
翌日に火葬されて共営墓地に
入れられる予定だったの」
話はさらに続きます。
女A
「その夜、その男性の恋人という人が
病院を訪ねてきてね
"一目だけでも会わせてください"って
頼まれてその人を安置室に案内したわ」
女A
「私は控え室に戻って夜勤の仕事を
していたんだけど、10分ぐらいした後
その人が控え室に来てね
お礼を言って帰ったの。
そして安置室の鍵をかけに向かって
確認のために安置室を覗くと
その男性がいなくなっていたのよ」
男A
「え〜、本当〜?」
女B
「信じらんない」
女A
「嘘じゃないよ。
安置室見た後すぐに外も見回ったけど
誰もいなかったから」
男B
「信じがたい話だな」
女A
「夜勤明けに病院の院長に話したんだけどね
その日になって、その街の有権者の
オゾマっていう人が失踪して
街はめちゃくちゃ
それどころじゃなかったわ」
レムロは確信しました。
間違いない。
この話はリュートとアナスタシアの事だと。
リュートがヒルマ村にいる事が確かなら
アナスタシアもいるに違いない。
確かに1軒 留守だった家がある。
アナスタシアがどんな手を使ったか
わからないがリュートが蘇り
この世に生きている限り
その秘密を暴けば俺は金持ちになれる。
権力を手に入れることができる。
そう思いレムロは残った酒を
一気に飲み干しバーを出ました。
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