76. 人里を離れて朽ちる

 人里を離れて朽ちる 去年こぞきつ



 今時分、柑橘類は緑にたわわに実り始めていますね。ああ、良い色艶だなあ、常盤色ときわいろと言うんでしょうか、とても深い緑色で。


 その枝を見上げていて、ふと木の根元に視線を下ろすと、去年誰にも取られずに、落ちたまま朽ちかけた黄色い実がいくつか目に入ったんですよね。鳥にはつつかれたような形跡があったんですが。


 樹上の緑のつやつやした柑橘の色と、樹下の朽ちた黄色の実の色のコントラストが、なぜか心を捉えた風景でした。

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