第14話 しあわせは どんな形の どんな色

 しあわせは どんな形の どんな色

 

 これが、なかなか、わからない。私は、形のない「しあわせ」にひかかれている。もっとも、それは願望であったが、現実ではなかった。

 形のないものを追いもとめてゆくと、それは逃げてゆきやすいようで、また、形のあるものだと入手しやすいようだ。

 結婚して、女性と暮らし、家を建て、自動車を買い、子供をつくり、と云うように形の見えるものにすると、「しあわせ」は形になり、入手できたように見える。勿論もちろん、幸せは内容のことであり、女性と暮らしても、その女性との暮しの内容が幸せでなければ幸せでなく、幸せを入手できたとは言えない。家も、自動車も、子供も同様である。

 併し、ほんとうの幸せは有形ではない。ほんとうの幸せは、他人の幸せを願い、幸せになるよう実行することである。自己が幸せになろうとすると、幸せは逃げてゆき、たとえ一時的に幸せを感じたとしても継続はしない。

 幸せは、究極的には自己が窮乏きゅうぼうし、破滅してゆく過程にしか存在していない。

 ちなみに、私は、びた形、夕焼けの色が好きである。


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