第5話
(仲間と打ち合わせをするねずみ小僧)
そうかい、この一件あの男(ひと)が手引きをねぇ・・・
そうじゃねぇかとは思っていたけど、まさかね
あぁ、あの男(ひと)とは昔、ちょっとね
ははは、なぁに昔の話さ
それにしても、十年ぶりに出会ってみりゃ
向こうは悪党、こっちは盗人
お互いろくでもねぇ人生だね
なぁに、心配しなくても大丈夫だよ
それとこれとは別の話さ
あぁ、許せないね
誰であろうと、薄汚い野郎は許ないよ
でも、それ以上に許せないのは、あたしの心さ
夢なんて疾う(とう)の昔に散ってしまったっていうのに
まだあたしの心は何かを待ってたみたいだね
次郎吉の名前を名乗るとき全部捨てたつもりだったのに
まったく、情けねぇ話さ
つくづく自分が嫌になっちまうよ
あたしもまだまだだね・・・
さぁ、もう湿っぽい話はこれで終わりだよ
そろそろ仕事の支度だ
手はずはいいね、抜かるんじゃないよ
さぁ、ねずみ小僧参上と行こうじゃないか
完
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