第79話 お風呂タイム

「どこか痒いところ無いか? 」


 バスチェアに座り、遥希は颯の背中をボディタオルで擦る。キツイ磨き方でなく、優しい手付きであった。


「う、うん。大丈夫だよ」

 

 決して後ろを振り返らずに、ボディソープに包まれた感覚を味わいながら颯はぎこちない返答をする。


 遥希の後ろ姿が気になるのは本音だが、理性をコントロールして欲望を抑える。


 あれから遥希が突撃した後、颯は暫くのあいだ驚きが抜けなかった。その上、遥希はバスタオルを胸から股の辺りまで覆うように巻いていた。


 一方、颯は胸から足まで全裸であった。一物も毛も丸見えだ。そのため、我に返った後は急いで風呂場を退出し、洗面所のタンスからバスタオルを取り出したものだ。その結果として、颯の股間には白のバスタオルが巻いてある。


「ふんふんふんふん♪」


 普段のクールなイメージとは異なり、ご機嫌そうに鼻歌を奏でる遥希。遥希の鼻歌は風呂場で少しだけ木霊する。


「もし良かったら前も洗おうか? 乳首だったり。…あの……男のあそこって言うのか? もし颯が望むならば、そこも私は…洗えるぞ? 」


 謎の間の時間を作り、遥希は颯の耳元で囁く。くすぐったい優しい吐息が颯の耳に吹き掛かる。


「ちょ、ちょっと。何て言うか…色々と当たってるよ。流石にまずいんじゃ……」

    

 明らかに動揺を隠せない颯。

    

 それもそのはず。乳白色の艶々ですべすべの健康的な遥希の肌が颯の手や太ももに触れる。さらに、バスタオルに包まれながらも主張が激しい豊満な胸は颯の背中にむにゅっと押し付けられる。バスタオル越しからも胸の柔らかい感触が伝わる。


 タオルに包まれた颯のあそこは自然とムクムクッと成長する。颯の一物の成長により、タオルは三角形を描くように変形する。


「おっと? もしかして颯の大事な大事な部分が大きくなってないか? もしかして興奮してるのか? 」


 揶揄うようにニヤニヤ笑みを浮かべながら、遥希はフーーッと背後から颯の首筋に吐息を吹き掛ける。


「う~~。…そ、そんなことないよ。そ、そんな嫌らしい人間じゃないから!! 興奮なんて全然してないから!!! 」


 吐息の程良い冷たさにゾクゾク身震いし、遥希に変なイメージを持たれるのを強く恐れ、颯は語気を強めて嘘をつく。本当はゴリゴリに興奮しており、理性を抑えることで精一杯だ。


「ふふっ。強がっちゃって。かわいい」


 颯の言い分を聞き、颯以外の同級生には決して見せない無邪気で可愛らしい笑みを、遥希は作った。

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