第147話 野分

あめかぜがつよくなり


じなりがうなるやまのなかで

やまもりかみに

てをあわせて

おがむひとありて


すべてをのみこんでしまうような

なみにむかいて

すいりゅうに

てをあわせて

おがむひとありて


たおれたいねの

たんぼのなかで

のうかみに

てをあわせて

おがむひとありて


むかし、むかしのそのむかしから

やまにはやまの

うみにはうみの

たはたにはたはたの

もりにはもりの

まもりかみおられ


ひとのいのりを

うけとりて


わすれてはならぬ

ひとのちからなんぞ

しぜんに

あらがえぬのだぞ




☆私自身は信仰はもちません。

東北育ちの祖母は、自然と共に暮らしていたので、よく、こんな話をしてくれました。

きっと、人が驕り高ぶり、ぞんざいに

山の木を切り倒したり、無理矢理、川の流れを変えて田畑を潤そうとすると、土砂崩れが起こりやすくなり、川が氾濫したのでしょう。


畏敬の念をもって共に生きるための話だったのかも知れません。


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