第113話 空回り

七夕の笹を片付けようとして

指先に痛みが走った


笹の葉で切ったんだね

指先を見てると

赤い血が表面張力で

流れ落ちもせずに

まあるくなっている


こんな時に

この血を吸ってくれる人がいたら

そんな想いがぞわりと沸き立つ


過去を振り返ってみても

仕方ないのに


ふっと息をはいて

ティシュで乱暴に拭う

こんなの、すぐに止まるから


悲しい女になったなぁ

呟きそうになりながら

片付けをしなきゃ


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る