第106話 バトン

私は木。


苗木の時にここに来た。


卒業祝いの植樹だったようだ。

小さな苗木だったから、それはあとから

しったの。


子供達が水をかけてくれたり、肥料もくれたわ。

だんだんと大きくなってくと、私の周りで

かくれんぼしたり、木陰で本を読んだりする

子供達がたくさんいたわ。


ふふ、わんぱくな子なんか私に登ろうとするのよ。

好きな子の名前を彫ったりする子もいたわ。

バレンタインデーのチョコを渡すのも見てたわ。


こうして、60年も過ぎたのね。


学校の子供達はいなくなったわ。

子供が少なくなったって、、。

ここは無くなるんだって、、。


私達、木も。


鳥さん、お願い。

私の小枝を持っていって。

そして、お山に植えてちょうだいな。


そしたら新しい命がつなげるかもしれないから。


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