第13話 オークション
「お、オークションに出しましょう!!」
クランマスターが興奮している。
「オークションなんてあるんですね、じゃあこれも出してみてください」
カードのアイテムボックスを一枚出すと倒れてしまった。
「あーぁ、マスターが気絶してる」
「ほっとけば起き上がるでしょ?」
「ケントとダイスケは?」
「魔法の特訓だって訓練場で訓練してるわよ?」
「ケントが火魔法でダイスケが風魔法だったよな」
「そう。でもまだあんまりカードは与えないでね。使いこなすのに慣れてからがいいと思うの」
「うん、わかったよ」
弱小クラン、ホープは若手しかいないからこじんまりとしているが。ビルを一棟持っているのでそれなりにマスターが頑張ってるんだろうな。
「それよりアイテムボックスもだすの?」
ヒナが聞いてくる。
「一回出してみたほうが価値がわかるしね」
「相当いくわよ?億は確実よね」
「マジで?」
「まじよ!そんだけ貴重なのよ?」
「そうなんだ。火魔法とかは?」
「火魔法は結構出てるから二百万くらいかな」
「マジで!」
「だからまじだっての!カードは貴重なの!」
ミアが言ってくる。
「俺、いっぱい持ってる」
「そりゃね!あれがあれば、取り放題でしょ!」
「どうしょう」
「どうもしなくていいの!そのままでいいの!」
そんなに貴重だったんだ?アイテムボックスなんていっぱい持ってるよ。
「ぷはっ!!はぁ、はぁ、」
「あ、起きた」
「アイテムボックスなんて持ってたんですか?」
「マスターも要ります」
「いりませんよ!そんなレア中のレアカード」
「オークションに出してみなよ」
ヒナが笑っていっている。
「海外からも注目されますね!」
「そんなに!」
「そうですよ!滅多に出ないんですから!」
「そうだ!一張羅のスーツをクリーニングに出さないと!」
マスターは出ていってしまった。
オークションまでは日にちがあるからまたダンジョンに潜ってる。屍ダンジョンだ。
いまは三十層のボススケルトンドラゴンと戦闘中。パリン。
「ほんとスケルトンに強いスキルよね?」
「まーね、核があるのには強いね」
ドロップ品はドラゴンの骨と魔石。
宝箱には魔刀雪中が入っていた。
剣術と刀術は違うから死蔵だな。
「そろそろ上がりましょう」
「そうだね」
俺らは上級ダンジョンは十層づつにしていた。他のダンジョンに行きたいのもある。
そして、俺がクルマの免許を取りに行かされている。なぜ俺だけ!
「がんばってきてねー!」
「ドライブドライブ!」
「お前達も取れよ!」
「やーよ!」
「助手席がいいんじゃない!」
くそっ!この年で取りに行くのは抵抗があるのに。でも、結構ためになるから行って損はないな。
「やった!一発合格!」
「おめでとう!」
「やったね」
初めて免許を取った!
高校も中退の俺が初めて!
なぜか涙が出た。
「あー、泣かないでヨシヨシ」
「おめでとう、頑張ったね」
なぜか慰められている俺は少しだけ甘えさせてもらった。
そして車も買った中古のSUVだけど新車じゃなくていいんだ。
「私が先!」
「私でしょ!」
「じゃんけんで決めろよ」
「わかった!」
「じゃーんけーんぽん」
勝利したのはヒナだった。
ミアは後ろで泣いている。
初ドライブで海まで行った。
「帰りは譲ってあげるわよ」
「ほんとに!」
海なんて親がいたときくらいかな、中学にはもう行かなかったかも知れない。
ほんとに懐かしくて、またこんな日が来るのが嬉しくて。
帰りはミアが助手席でずっと喋っていた。
うしろからヒナが顔を出してるし、ケントやダイスケも連れてくれば良かったな。
そして日が経ってオークションの日。
海外からも多くの注目を受ける中で、マスターは一張羅のスーツに身を纏い、オークション会場へ。
今回出品される中でも大トリをつとめるのがアイテムボックスのカード。
その前のダイヤなんて小石ほどの価値な訳で。
それでも、一千万はついた。
テレビでも今中継されていてみんなで見ている。
「では、最後の大トリ!アイテムボックスのカード一億から」
「「「「一億から?」」」」
「二億」
「三億」
「五億」
「五億でました!“カンカン”五億で落札」
「いやぁ、五億だなんて、凄いわよ?」
「俺はいっぱい持ってる」
「出しちゃダメ」
「マスター大丈夫かな?」
「失神してんじゃない?」
「それにしても、買ったのは海外でしょ?」
「そうなんだ」
ホープクランが出したのもわかってるはずだしどうなるかな?
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