第5話 【ASMR】足踏み全身揉みほぐし
#左から、かがみの声がする。
かがみ
「楽しい雰囲気になったし……よし。次のリラックス法、行っちゃおっかな。」
「名残惜しいけど……膝枕、ここで終わるね……。んしょ、んしょ……っと。」
#通常通り前方から。
かがみ
「ん、お疲れさま。次はね……『足踏み』でリラックスだよ♪」
「ここ奥津温泉では、『足踏み洗濯』っていうお洗濯の仕方が有名なの。」
「足踏み洗濯っていうのはね、河原で着物を着た女の人が『奥津温泉小唄』を歌いながら洗濯物をふみふみする、奥津温泉の名物なんだよ。」
「あのね、わたしもね、足踏み洗濯が大好きで、ぜひ湯者さんに……。」
「あ! ち、違うよ、湯者さんを足踏み洗濯するわけじゃないよ。わたしが湯者さんにしてあげたいのは、普通の『足踏み』だよ。」
「足踏み洗濯みたいに、湯者さんの背中をふみふみして、湯者さんの体に溜まった疲れを外に押し出してあげたいな、って思ったの。」
「わたし、足踏みには自信があるんだ。わたしの体重なら、ちょうど湯者さんを気持ちよくできると思うし……えと、とにかく、一度やってみるね!」
#後方から、かがみの声がする。
かがみ
「行くよー。寝転がった湯者さんの、背中から……。よぉし……!」
「よいしょ、っと……。……どう? 痛くない?」
「……大丈夫そうかな? えへへ。じゃあ、足踏み、始めるね。」
「まずは湯者さんの肩の周りを……。ふみふみ、ふみふみ……。」
「肩甲骨の周りの筋肉は凝りやすいから……念入りに……。ふみふみ、ふみふみ……。」
「どろどろのタオルのしつこい汚れを落とすように……。ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふぅ……。いい感じで汚れを落とせたね。……って、汚れじゃなくて疲れか。えへへ。」
「次は少し下がって、腰だよ。」
「ここも、肩の周りと同じように……。ふみふみ、ふみふみ……。」
「体の中に溜まった疲れを、外に押し出すように……。 ふみふみ、ふみふみ……。」
「つま先だけじゃなくて、時にはかかとも使って……。ふみふみ、ふみふみ……。」
「あのね、凝りやすいところの筋肉は、足の指を使ってていねいに、ていねいにほぐしていくの。」
「足の指でぎゅっと握ったり、パッと離したりしながら、ふわふわの柔らかいタオルに戻していこうね。」
「って、タオルじゃなくて体だった。えへへ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ん……もう少し。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「うん、だいぶほぐれたかな。」
「最後は、お尻だよ。」
「まずは右のお尻から……。ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「そしたら今度は、左のお尻……。ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「うーん……。もう少しかなぁ。」
「ちょっと強めに、右ひだり交互に、ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふふ、見えるよ。どろどろ汚れが落ちてきたね……!」
「よぉし、もうひと踏ん張り!」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ……。」
「ふみふみ、ふみふみ!」
「ふみふみ、ふみふみ!」
「ふみふみ、ふみふみ!」
「ふみふみ、ふみふみ!」
「やったあ! どろどろタオルさんがぴかぴかタオルさんになったね!」
「…………はっ!?」
「あ、えと、ごめんなさい……。わたし、楽しくなっちゃった……。い、いま下りるね!」
#右から、かがみの声がする。
かがみ
「ふう……。ゆ、湯者さん、どうだった? すっきりしてくれたかな……? えへへ……。湯者さんが楽になってくれたら嬉しいな……♪」
「あ、あの、それでね……。」
#かがみの声がぐっと近付く。
#本気で湯者を心配して。
かがみ
「湯者さん……。湯者さんが頑張り屋さんなことは知ってるけど、頑張りすぎはダメだよ?」
「もし、湯者さんが無理して倒れちゃったら……わたし、すっごく心配する……。」
「そ、その時は! すぐ連絡してね! わたし、湯者さんのために、毎日お洗濯とか身の回りのお世話してあげる。」
「湯者さんがしてほしいこと、何でもしてあげる!」
「でも、でもね、一番いいのは、湯者さんが倒れないことだもん……。」
「だから、ちょっとでも疲れたり、困ったりした時は、すぐにわたしに言ってね。約束だよ。」
「……湯者さん、聞いてる? わたし、本気だよ?」
「むぅ……。湯者さん、手、貸して。約束だから、指切りしよ。」
「ん……。指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます。指切った♪」
「えへへ……。ちゃんと守ってね。わたしと湯者さん、二人だけの約束だよ……♪」
《第6話へ続く》
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『ASMRボイスドラマ 温泉むすめ あなたをおもてなししたい奥津かがみ』(CV・久保田未夢)
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