第400話 アメリカ上陸作戦(4)
アメリカ デトロイト 陸軍本部
「フロリダの状況はどうなっているんだ!」
タンパにあるマクディル陸軍航空隊基地から、攻撃があったとの一報が入った直後に無線も有線も基地と繋がらなくなってしまった。
無線はおそらく日本軍の妨害電波によるものなのだろうが、有線通信も使えなくなっていることに、陸軍本部は混乱していた。
「スティムソン長官。ジョージア州とサウスカロライナ州の何カ所かで電信鉄塔が爆破された模様です!全力で復旧に当たらせます!」
「なんだと!工作員の破壊活動か!?」
フロリダとの通信を遮断するために、ロシアKGBのエージェントが電信鉄塔や交換設備の爆破を実行していた。人の住んでいない大地に敷設された長大な電信線の全てを守ることなど、どうやっても不可能なのだ。
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ほとんどの高射砲を破壊した日本軍は、九七式戦闘攻撃機・零式戦闘攻撃機・九八式重爆撃機をタンパ上空に侵入させた。そして、地上の陣地に対して爆撃を開始する。
「日本の攻撃機が接近中だ!上がれる戦闘機は全部上げろ!」
フロリダ・タンパのマクディル陸軍航空隊基地は、早朝から巡航ミサイルによる攻撃を受けており、すでに滑走路は穴だらけになっていた。それでも重機によって穴を埋め、なんとか300mほどの滑走距離を確保することに成功していた。また、マイアミ他フロリダ半島に存在する基地からもありったけの戦闘機が迎撃に上がって来る。その総数は実に1800機にも及んでいた。
「御須磨司令、マクディル陸軍航空隊基地より航空機が離陸して来ます。およそ200。他の航空基地からも次々に離陸してきます。合計1500以上!」
「まずはタンパ上空の200機を撃滅する。巡洋艦隊、SAM4(艦対空ミサイル)発射」
哨戒機からの索敵情報は栗田艦隊や小沢艦隊と共有されており、コンピューターが既に攻撃目標を各巡洋艦に割り振っていた。あとは、発射の命令を下すだけなのだ。
巡洋艦のVLSが開き、1セルに2発装備されたSAM4が次々に空に登っていく。今回の上陸作戦には、重巡5隻、軽巡駆逐艦85隻が参加しており、そのVLSに納められたSAM4は、実に3400発以上に及んでいた。
――――
「日本軍のミサイルを視認!全機チャフを投下!」
P47戦闘機の大隊を率いるドネリー少佐は日本軍のミサイルを発見し、チャフを投下する。妨害電波で無線は使えないが、僚機達もミサイルに気づいてチャフの投下を始めた。
ハワイやミッドウェーでは、チャフには一定の効果があったと聞いている。ただ、最近のメキシコ湾における小規模の戦闘では、出撃して帰還できた機は一機もなく、その効果が薄れているのではないかと噂されていた。しかし、自分たちには命じられた作戦を実行する以外に選択できる手段など無いのだ。
ドネリー少佐は祈るように近づいてくるミサイルを凝視した。そして、シミュレーションで練習したとおり、ミサイルが1kmくらいに近づいた瞬間エルロンを操作して機体を右に傾け操縦桿を引いた。
「どうだ!これで躱せるはずだ!」
ドバシャーン!
ギリギリで躱すことが出来たと思ったミサイルは、ドネリー機の機首の下付近で爆発を起こした。そしてその破片がドネリーの左太ももを貫く。
「くそっ!ついてねー!部下達は大丈夫か!?」
ドネリーは機を立て直そうとしたが、エルロンが動かない。どうやら操縦系統が一部やられたようだ。ラダーとエレベーターは正常に動いたので、なんとか機を立て直して僚機がどうなったか確認した。
「う、うそだろ・・・そんなああああ!」
日本軍のミサイルにたまたま当たったのは、自分がついていなかったからだと思った。しかし、そうではなかったのだ。ドネリーが目にした光景は、穴だらけの滑走路からなんとか離陸した200機の友軍機が、無残に墜落していく姿だった。
ハワイとミッドウェーの戦訓によって、アメリカ軍のチャフが想像以上に効果を発揮することを確認した宇宙軍では、その対策のためプログラムアップデートを実施していたのだ。そしてそのアップデートは非常に高い効果を発揮する。
フロリダ半島の各地から離陸したアメリカ軍機は、対空ミサイルによって戦場に到着する前にほとんどが撃墜されてしまったのだ。
対空砲も迎撃戦闘機も失ったアメリカ軍に、日本の攻撃機を押し返すことは既に不可能だった。日本軍による陸上目標への爆撃は苛烈を極めた。爆弾を投下した日本軍機は、キューバ基地か空母に戻り、再度爆装して飛び立っていく。この反復攻撃は翌朝7時まで休むこと無く続けられた。
米軍の反撃がほとんどなくなった11月24日午前8時、巡洋艦に護衛された上陸部隊がタンパの海岸に接岸を開始した。
激しい爆撃によってアメリカ軍のほとんどを撃破してはいるが、それでも破壊されなかった防空壕がいくつかあった。そこに潜んでいた米兵が、果敢にもM1ガーランドやトンプソン・サブマシンガンで反撃をしてくる。
上陸部隊は反撃に遭った場合、無理な進軍を行うことはせず一度前線を下げるようにしている。そして、支援の九九式襲撃機や九八式攻撃ヘリに敵の座標を送り上空から撃破してもらうのだ。
日本兵は味方からの誤射を防ぐため、ヘルメットと軍服の肩の所に赤外線を反射するマーカーを貼り付けている。このマーカーによって、攻撃ヘリや襲撃機の赤外線照準器で見ると日本兵であることが一目瞭然だった。
11月24日 午後3時
日本軍は橋頭堡を確保することに成功した。
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◆作者よりおりいってのお願い◆
以前から少しずつ書きだめていた
「本能寺から始める異世界天下布武 ~転生した信長は第六天魔王になって異世界に君臨します~」
を公開しています。
https://kakuyomu.jp/works/16818093087661842928
実験的な要素がかなりあるのですが、率直で厳しいご意見をいただければ今後の参考になります。
何とぞ、何とぞよろしくお願いいたします。
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