第362話 久々の麻雀


 「そう言えば祭りはどうなったんですかい? 投票はこの前終わりやしたが」


 「あ、それポン。今集計してるところ。何十万人の投票だからね。いくら優秀な人間でもそれなりに時間がかかる」


 「へぇ。俺達は麻雀大会に投票したんですけど、採用されますかね?」


 「無理だろ。麻雀大会なんて国がサポートしなくても出来そうだし。あ、ロン」


 首都にある行きつけの雀荘で、馴染みの連中と高レートでバチバチにやり合ってると、話題は祭りの話に。


 結局祭りは十年周期で色々行われる事になった。国でいくつかやるって決めた祭りもあるけど、国民がやりたいって言った祭りも採用する為に投票してもらってたのが、この前機嫌だったんだ。


 因みにこの雀荘での俺の勝率は5割いくかいかないかぐらいだ。イカサマしなきゃ俺の実力なんてそんなもんよ。ここの奴らはレベルが高いし。


 妲己もここに結構入り浸ってるらしく、俺より勝率は良いんだけど、俺には勝てない。妲己とやる時は俺が絶対にイカサマするから。


 ここまで来ると意地でも妲己に麻雀は負けたくないからね。


 「やっぱり無理っすかー。因みにどんな祭りは確定とか決まってるんすか?」


 「5つは決まってる。国が決めた祭りだな。残りの5つは投票の結果待ち。教える事は出来ないぞ。ネタバレ厳禁って言われてるからな」


 「ちぇ。口の軽いレト様なら言ってくれるかと思ったんすけど」


 「はい、不敬罪ー」


 やっぱりここは居心地が良いな。みんなが俺の扱いを分かって気を遣わずにいてくれるから、気兼ねなく遊べる。


 「え? あれ? 嘘だろ?」


 「何? お前の親番だぞ。さっさときれよ」


 「あ、アガってる…」


 「にゃにぃ!?」


 俺が1位だったのに、まさかの天和を喰らって負けた。こいつ、積み込んだんじゃあるまいな? 俺相手にイカサマするなるて、不敬罪だけじゃ済まされないぞ?


 因みに不敬罪の罰は、俺のその時の匙加減で決まります。





 「たでーまー」


 「…………」


 結局その日は珍しく麻雀でボロ負けして、城に帰ってきた。集計の調子はどうだろなと差し入れを持って、文官達の仕事してるところにやって来たら、みんな一心不乱に紙を仕分けしてるところだった。


 人数にして300人はいるだろう。それだけの人数が箱から紙を出しては仕分けしている。


 「こ、ここに差し入れのシュークリームは置いておくねー…」


 部屋の奴ら全員から邪魔したら誰であろうと殺すという強い意思を感じたので、俺は食堂から持って来た差し入れを置いてそそくさと逃げ帰った。皇帝は無力である。


 「パソコンとかあったら、ああいうのも楽になるのかな? でもなぁ。パソコンはマジで分からん。使い方も知らないし、原理も分からん。ウェインに頑張ってもらうしかないんだよね」


 それに今は何か開発してもらう事も出来ない。パソコンは慣れたら便利なんだろうけど、慣れるまでそれなりに時間が掛かるだろうし、そんなのを導入しまーすなんて言ったら、グレースに腹上死させられる。


 「俺が出来るのは邪魔しない事。後は吸血鬼を魔力切れギリギリまで出して、人員を追加する事かな」


 あんまりやりたくない手なんだけどな。結局その場凌ぎだし、召喚した吸血鬼は成長しないし。多少仕事を覚えて賢くはなるんだけどね。


 教育者をもっと増やして、どんどん下の奴らを引き上げていくしかないな。サマーとミシェルに相談しておこう。

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