大乗仏教――ナーガールジュナ――
仏教哲学は良くわからないので省略してしまおうか? とも思ったのですが、資料として掲載されているのが、よく見ると「般若心経」ではないですか! 「般若心経」に何が書いてあるのか? は興味があるので、さっそく引用します。注釈を入れる関係で途中区切ります。
一切を知りたまう仏に礼拝し奉る。
聖なるアヴァローキテーシュヴァラ(観世音菩薩)が、深遠な理知の完成を目指して修行したとき、われわれの生活をつつむ精神的・物質的なあらゆる要素が5種(1)あることを観察し、しかもそれらは相互に依存して存在する(2)ことを認めた。
長いけど重要な注釈です。
(1) われわれの生活をつつむ精神的・物質的なあらゆる要素=五蘊――色(肉身)・受(感覚)・想(表象)・行(意志)・識(認識)――をいう。
(2) すなわち「空」をいう。これは「すべてのものは因縁、すなわち直接、間接の諸条件によって成立し、現在あるようなものとして存在するのであるから、そこに本体とか実質とかいうものはない」という考え。
難しいけど、この「空」の考えが重要みたいですね。本文の引用に戻ります。シャーリ=プトラは仏弟子の中で智慧第一のものといわれている人です。
さて、シャーリ=プトラよ、この世においては、眼に見えるもの(色)はすべて実体がない(空)のであり、実体がないということこそ実に眼に見えるものの本性なのである。すなわち、実体がないということは眼に見えるものの本性にほかならないのであり、眼に見えるものは実体のないものに過ぎない。眼に見えるもの、それは実体のないものであり、実体のないもの、それが眼に見えるものである。われわれの感ずるところ(受)、心に思うところ(想)、心のはたらくところ(行)、判断するとこと(識)、これらもまさしく同じである。
シャーリ=プトラよ、この世においては、一切の存在は実体のないことを特徴とするが故に、それらは生ずることもなければ、滅びることもない。汚れてもいないが、さりとて清浄でもない。また、減りもしなければ、増すこともない。
したがって、シャーリ=プトラよ、実体がないということの中には、われわれの眼に見えるものも、われわれが感ずるものも、われわれの心に思うものも、われわれの心のはたらくものも、またわれわれの判断するものも存在しないのだ。さらに眼・耳・鼻・舌・身体・心という感官(六根)もなければ、これらの感官の対象である眼に見えるもの・声・香り・味・触感・現象的存在(六境)もない。眼の対象となる世界もなく、ないしは意識の対象となる世界に至るまでの十八界もない。
また、真理をさとる神聖な智慧(明)もなければ、根本的な無智(無明)もない。神聖な智慧が無くなるということもなければ、根本的な無智が無くなるということもない。以下、老死もなければ、老死が無くなることもないというに至るまでの所謂十二因縁もない。苦悩もなければ、苦悩を生ぜしめるもの(集)もなく、苦悩を滅ぼすということ(滅)もなく、苦悩を消滅させるに至る道もない。智慧もなければ、智慧の取得ということもない。取得した状態というものがないからである。
菩薩の修行する理智の完成に帰依するならば、心になんのわだかまりもなく暮らすことができよう。心になんのわだかまりもないから、怖れることもなく、物事にわずらわされて心が動転するという状態を脱け出して、究極の「さとり」に到達することができよう。過去・現在および未来の三世に属する一切の仏は、理智による完成に専念して、この上なく完全な「さとり」を達成したのである。
したがって、人は理智による完成の偉大な呪文を知らねばならぬ。この偉大な呪文は、無上・無比の呪文であり、虚偽でないが故に真実の言葉である。この呪文は理智の完成を目的として宣べられた。その呪文は、次のようである。
【平安の境地にはいった者よ、平安の境地にはいった者よ、彼岸に行った者よ、彼岸に集まり来た者よ、「さとり」に到達した者よ、幸あれ。】
以上で『理智による完成の心髄』が終わる。
実体がないというところの実体が何かよくわかりませんでした。そして、最後は何故か呪文が出て来て終りました。ナーガールジュナが完成した大乗仏教「空」の理論ですが、おわかりいただけたでしょうか? 私はよくわかりませんでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます