第67夜

〘 ジャネーの法則〙なるものがあるらしい。


なんでも、〖体感的には〗20歳で人生の半分を終えていることになる とのこと。


…20歳って。

ウチにとっては、人生1番暗黒だった時ですが。

あの時は〖体感的〗どころか、現実的に終わるかと思っていたし終わらせたいと思ってた。


でも、15歳で成人だった時代からするとそうなるのかな。人生50年、なんて唄があったくらいだし。


人生50年でも良いかなって、本気で思ってた。

その頃には末っ子も成人だし、そこから自分の人生生きる気力もない。

子が成人したら、自分の役目は終えられる。

自分がどうしたいかって、ちゃんと考えて無かった。


彼と出会うまでは。

正しく言うと、現実的に会うまでは。


初対面の日も、(最期に良い思い出作れたら良いな)とか思ってた。色々疲れてしまっていて、50で終わらせる気満々だったから。


会ったら、(生きてこの人の事もっと知りたいな)と思った。だから、「自分より長生きして欲しい」と聞いた時"彼より1日だけ長く生きる"って決めた。

ウチの方が15年先に生きているけど、不思議とそれは気にならなかった。

【死んでも一緒にいる】って、その前に決めたからだろうか。そして、それを微塵も疑ってない自分がいる。

〖決めた〗のも、根拠も何も無いのだけど。

ただ、自分がそうしたいと強く思った。


恥ずかしながら、彼に会うまで[周りに合わせて]生きてきた。悪く言えば、ヒトの意思に流されて生きてきた。親だったり、自分に一瞬の好意を向けて来た相手だったり。そこに自分の『○○したい』は全くなかった。

彼に会って、初めて自分の意思で〖決めた〗。


周りに好かれなきゃ価値がないと思ってた。

母親に「産まなければ良かった」と言われた時から、自分ではなく〘 お姉ちゃん〙としての存在意義しか無かった実家。

ウチをウチとして見て欲しかったけど、それは叶わなかった。


喋るのが苦手ですぐ泣いて、弱虫で慌てんぼなウチを彼は「別にいいんじゃない」と言ってくれた。

強くならなきゃ・しっかりしなくちゃと思って(今思えば)無理をして来た。

けど、彼の「別にいいんじゃない」で"あぁ、この人の前では無理しなくていいんだ"って思えた。

そうしたら、不思議と無理して周りに合わせる事が少なくなった。自分も、無理な事は無理って言えるようになった。

やっと、自分の意思で生きている気がする。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る