第9話

「なんでまた殴るわけ」


「彼女を笑われたから」


「なにそれー!ありえな!絵里ちゃんほんとバカ女よねー。ほんと嫌になるし〜」


「もういいんです。そろそろ帰ります」


「亮介」


立とうとしたのに、手を引かれた。


「ホテル行かない?」


なにこれ…


「…いや。何考えてんですか?」


「なにって…わかるでしょ?」


「わかりません」


「じゃ、わからせてあげる」


腕を引かれて座席に戻される。…て


「顔!近いです!」


「なによー、キスしたくない?」


「いやめちゃくちゃ酔っ払ってる!酒臭!」


ぐいぐい顔近づけられてるから、手でふせぐ。まじ、酒臭いし!


「ちょっとくらい、いいじゃーん」


「いや。まじ無理!」


「なによそれ。私うまいよ?」


「いや、まず、顔が無理」


「はぁ?」


「ババアだし。金置いておきますから。帰ります」


「ちょっと!亮介は私としたくないの!?」


「ねーわ」


俺は、なんの対象なんだ?わけわかんない。


「私、けっこう亮介のこと好きなのに」


「俺は、彼女が好きなんで。酔い覚めたら帰ってくださいね」


はぁ、今日は疲れたな。

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